第5話

 邪神。

 その存在はゲーム知識を持っている僕であっても完璧に理解しているとは言い難い存在である。

 それほどまでに強力で、ゲームでも情報の少なかったキャラである。

 であるからこそ、地道に邪神の情報を集める必要があった。


「……」

 

 僕はゲームの一部文献にあった記録を頼りにやってきたかつて邪神が住んでいたとされている場所へと訪れていた。


「……理解出来ないな」

 

 僕は何もかもが歪なその一室を見て眉を潜めながら辺りの散策を行う。

 机の大きさ、椅子の大きさ、天井の高さ、置かれている物品。

 すべてがでたらめかつバラバラで、おおよそ一つの生命が生きている場所だとは思えないその一室をゆっくりと歩く。


「形が定まっていないタイプであることは確定……敵の形を固定させる術式は必要……」

 

 僕はこの場に残されたものの数々を確認していく。

 ここに残されているものの数々はどれも重要な情報を齎してくれるものばかりであり、実に素晴らしきものであった。


「ふむ……ここに対邪神用極大魔法の仕掛けでも施していくか」

 

 邪神の力に長い間晒されていたであろうこの場所は魔法の仕掛けを施すのにおいて、これ以上ないまでに素晴らしい立地となっていた。


「この程度でいいだろう」

 

 必要であろうと思われる魔法の仕掛けと調査を終えた僕は一度体を大きく伸ばす。

 場所によっては中腰でないといけないところもあったりするため、非常に体への負担が係る場所であった。


「帰るか」

 

 調査を終えた僕は己の居城へと帰るべく、この場から飛び去った。

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