第28話

 アリエスががいない。

 しかし、予めアリエスには現在どこに居るのかをいつでも確認することの出来るよう魔法を仕込んである。

 それで確認すればアリエスの位置を確認することが出来る。

 

「……」

 

 僕は魔力を込めて仕込んでおいた魔法を発動し、現在アリエスがどこに居るのかを確認する。


「……なんだ。ここ」

 

 表示されたのは王都の近くにある小さな森。

 なんでこんなところにアリエスが居るのか。攫われてたとしても何故こんな何も居ないような森に連れ去ったのか。

 疑問は色々とあるが、実際に行ってみればすぐにわかることだ。


「アリエスを探してくるからここで待ってて!」


「待って!うちも行く!うちもアリエスのママなんやさかい!」


「……うん。わかった。……じゃあ、行こうか」

 

 僕とアレナがアリエスを探しに行くため、家から出る。

 その瞬間。


 ドンッ!!!


 大きな衝撃と爆発音が鳴り響く。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!?」


「なんだッ!?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」 


 当然音に街はパニックになり、人々は戸惑う。

 

 ドンッ!!! 

 

 再びの爆発音。今度は更に近い。

 見れば、僕の家の前の建物が攻撃にあったのか、派手に壊されていた。


「な、何が起こってるんや!?」

 

 僕の隣に立っているアレナが困惑と驚愕の声を上げる。


「……魔族だ」

 

「へ?」

 

 僕は派手に壊されている家に佇んでいる魔族の姿を発見する。

 僕はここ、王都に幾つもの魔族の気配を感じることが出来た。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 魔族たちの王都襲撃。

 今、それがこの場で起こっていた。状況は最悪に近いと言っても良いかも知れない。


「魔族は一旦後や!全員殲滅するのにも時間がかかる!今はとりあえずアリエスを!うちの家には強固な結界が貼られてるんやん?」


「そうだね。うちには僕が以前作った強固な結界があるため、魔族たちであっても中に入ることは難しいだろう」


「ならええ!早うアリエスを助けてやらんと……!」


「そうだね。アリエスの方に行こうか。こっちだ!」

 

 僕とアリエスは狂乱の中にある王都の中を突き抜け、アリエスが居ると指し示されている森の方へと向かった。

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