第32話
「じゃあ、冒険者ギルドへの報告はに任せちゃって良いかな?」
「あぁ。俺が報告はやっておくよ……とりあえずその子をちゃんとしたベッドで寝かせてやってくれ」
「うん。わかった」
「こっちやで。うちらの宿屋には小さな子ども用のベッドやらが置かれてる部屋があるさかいね。そこを利用するとええで」
僕はレミアとは別れて、羊の角を持った少女を抱えたままアレナについて行く。
みんなで話して、とりあえずずっと羊の角を持った少女を抱えておくまま、というわけにもいかないから、冒険者ギルドに報告をする人と、少女を寝かせに行く人と別れることになったのだ。
ちなみにだが、冒険者たちは依頼の中で手に入れたものはすべて冒険者たちが所有して良いということになっている。
「ここやで」
僕が泊まっている宿屋の一階。
そこに用意されている少し広い部屋の中へと入り、そこのベッドに少女を寝かせる。
「それくらいの子どもを連れた夫婦がその子供と泊まるための宿屋や」
「ありがと……僕の部屋、こっちの方に移そうかな?」
「ほな、うちも移そかな。この部屋ってば夫婦で入る部屋やし、うちが寝れるベッドもあるでなあ」
この部屋にはベッドが合計で三つもある。
「良いかもね……でもまぁ、後で良いか。まだ、この子がどうなるかはわからないのだから。レミア待ちでいいんじゃないかな?」
「せやな」
僕とアレナは疲れを癒やす意味も込め、同じベッドへとその体を倒した。
「はぁー、疲れたぁ」
「戦っていたのは僕だけだけどね」
「そやかて疲れるんやで!……精神的にも来たしな。あの化け物を前にしてほんまに怖かってんよ」
「せやか」
「せやよ」
「あんな化け物を前にして動じへんマキナがおかしいねん。うちは普通の感性やで。はぁー、疲れた疲れた」
「ゆっくり休んでくれ」
「言われへんでもやで。マキナも休んでや」
「うんー。もちろん」
僕とアレナはレミアがこの宿屋で迷子になるそのときまで、休息の時間を過ごしたのだった。
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