第25話

 冒険者ギルド。

 それはこの世界に存在する組織の一つであり、その存在理由は単純で、仕事のない人間に危険な仕事を与えて間引くため。

 

 誰でも登録することが可能な組織で、冒険者ギルドに登録した冒険者たちが国や街、市民より依頼された誰もやりたがらないような雑事や危険な仕事を行っていく。

 何の役にも立たない人間に雑用をやらせ、危険な仕事を使って人を何のデメリットなく処分出来る。

 魔物のお腹の中に死体が行くので、腐って疫病を撒き散らすことがないのだ。

 そして、たまに才能を発揮して大きくなるような人間もいて、埋もれていた才能を開花させることが出来る素晴らしい組織である。

 

 この国は、圧倒的な武力を持った他国に戦争を仕掛けて領土を広げてきた歴史を持っている。

 この国が圧倒的な武力を持てた理由の一端としてあるのがこの冒険者ギルドだろう。

 それだけこの組織はこの国に対して大きな恩恵と影響力を持っている。

 

「ここが冒険者ギルド……」

 

 そんな組織に僕とレミアとアレナがやってきていた。

 ここに来た理由は簡単でお金を稼ぐためだ。


「これでお金を稼いで何か村にあっても大丈夫なように!」


「ここでお金を稼いで新しい事業を初めて将来につなげるんや……!」  

 

 別に僕はお金なんて要らなんだけど、お金を稼ぐためにやってきているのである。

 そこに他意なんてない。ないったらない。全然ない。一ミクロンもない。うん。


「どの依頼にする?」

 

 三秒で終わる冒険者登録を終わらせ、依頼が掲載されている掲示板の方へと視線を向ける。


「なにこれ?すごいおもろい依頼あんねんけど……こんなん初めてみた」

 

 アレナはそんなことを言いながら一つの依頼を指差す。


「……ん?どれ?」

 

 僕たちはアレナの指さした依頼へと意識を向ける。

 アレナの指差した依頼。

 その内容は別に珍しいものでもなんでもなく、森で何か魔物のような謎の声がしたから調査してほしいというもの。


「え?これの何が面白いの?」


「別に普通の依頼だと思うんだけど……」

 

 僕とレミアは共に首を傾げる。

 

「いやいや、依頼者をよく見て」

 

 そんな僕たちに対してアレナはこの依頼の依頼者を良く見るように告げ、視線を無い良いからそちらの方へと移す。


「なにこれ!?」


「……へぇ」

 

 この依頼の依頼者。

 それはまさかの王家だった。

 滅多に……本当の大事件以外では依頼を出すことのない、おそらく何十年ぶりに出されたであろう王家の依頼。確かに珍しいし、初めて見るだろう。

 ……何が面白いのかはわからないけど。

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