第21話

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」


「ちょいダラけ過ぎちゃう?」


 僕はアレナのベッドの上で寝っ転がり、これ以上ないまでにダラケていた。


「良いじゃないか……僕は疲れているんだよぉ。あぁー明日から学校とか憂鬱」

 

 僕は村から王都まで走って帰ってきたのだ。半日くらいかけて、全力で。普通に疲れている。

 はぁー。学校面倒。学校が面倒で忌々しいのは異世界であっても地球であっても変わらない。


「平民であるうちらが貴族たちと一緒に勉学をせれるやなんてこの上あらへん幸福なんやさかいね?普通は出来へん特別なんやさかい」


「いや、別に貴族たちだって無能じゃん。僕以下だよ?みんな。先生たちだって僕以下の無能だよ?一体何を学べと?」


「……事実かも分からへんけど、それ私以外の人に言うのよ?絶対に。振りちゃうさかいね?わかってる?他の貴族の人たちに目ぇつけられることに……」

 

「ん?……第二王女殿下の威を借る僕に逆らう存在がいるとでも……?」


「いや、その発言は流石のラーニャで……も……」


「あいつが僕に怒るところを想像出来た……?そもそもの話。平民相手に呼び捨てで自分の名前を呼んで良いって話す王族がそんなくだらないことで怒るわけないじゃん」


「全然下らへんこっちゃあらへんけど……確かに」


「でしょー?第二王女殿下が僕に惚れている間は


「……わかっとって接してんねや」


「そうだよ……というか、あれでわかっていないのは無能すぎるじゃん。めちゃくちゃわかりやすいじゃん。僕は彼女の好意を利用し、彼女はどんな手段を使っても僕を手に入れようとする。そんな関係なんだよ」


「おかしすぎるやん。その関係。……ほな、テレシアはどうなん?」


「いや、普通に断っているじゃんぁ」


「……せやな」


「彼女には早く別の人を見つけてほしいものだ。脈は絶対にないから」


「えげつないこと言うなぁ」


「事実だよ……というか、なんで僕の恋バナなんてしているんだよ」


「いや、宿屋でする話といえばこれやない?」


「男女でやるものではないと思う……ところでアレナの好きな人は……?」


「なんやかんや言いながら乗り気やんけ。……うちはあらへんなぁ。そんなんよりも商売。うちの結婚ちゅうカードは使いにくいでなぁ。貴族と結婚したらうちが嫁にいかなだし、婿に来てくれる人がええんやけど、そんな人おらへんし。……婿に来てくれそうな貴族の三男坊と結婚しても大した旨味あらへんしなぁ」


「え?何その答え。つまんな。完全なる商売じゃん」


「そらそうやろ。うちは商人の娘やさかいな」

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