第46話

 先へ先へと進んでいく僕ら。

 

「ここは……」

 

 長いながら廊下を歩き、多くの部屋の扉を抜けていく。

 人の気配は驚くほどない。

 

「……」

 

 人の気配はある一つのところに固まっているのだ。

 わざとか無意識。

 テレシアは一心不乱に、真っ直ぐ人の気配が固まっている方へと向かっていく。

 ……このままついていくのは得策じゃないかな?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」

 

 僕は素早く自分の手刀で己の右足を切断する。


「えっ……!?あっ!だ、大丈夫!?!?」

 

 テレシアが焦ったような表情を浮かべ、右足を失った倒れる僕の方へと近寄ってくる。

 血がどくどくと流れ、小さな川を作り出す。

 

 パシャ

 

 水しぶきが上がり、僕の体に柔らかい手が差し出される。


「大丈夫なの!?」


「あぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!痛いッ!痛いッ!僕の……ッ!」

 

 僕は心配するテレシアを横目に苦痛の表情を作り、大きな声を上げる。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 大きく体を揺らす。僕。

 

「いっ……ぁあ!?」

 

 振り回される僕の腕にぶつかったことで体のバランスを崩したテレシアは自分の足元に流れる僕の血で足を滑らせてそのまま転倒する。


「ァ」

 

 その瞬間。

 僕の足に黒いもやが絡みつき、そのまま引きずられていく。


「あぁ!マキナッ!!!」

  

 離れていく僕へとテレシアは手を伸ばし、追いかけようと走り出す……が。


「キャッ!?」

 

 焦りすぎたのか、再び血へと足を取られてステンッときれいに転ぶ。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」

 

 どんどん引きずられていく僕の体。


「マキナぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 そして、とうとうテレシアの姿が見えなくなり、声も聞こえなくなってくる。


「ふー」

 

 その段階で僕は黒いもやを消し去り、右足を再生させて立ち上がる。このくらいまで行けば良いだろう。

 ちなみにここまで全て僕の自作自演である。

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