第41話

 学校生活。

 基本的にはいつもイツメンで過ごしているが、僕がイツメン以外と一切関わりを持って居ないのかと言うと、そういう訳ではない。


「なんかごめんね……付き合ってもらって」


「ん?大丈夫だよ。僕が好きで来ているだから」

 

 僕は以前戦ったことのある公爵令嬢……テレシアと一緒に買い物に来ていた。

 テレシアは公爵令嬢、自分で買い物などしたことないような箱入り娘である。

 そのため、一人で買い物に行くのが心配で、一緒に来てほしいと頼まれたのである。

 

「それ?で今日は何を買うの?」


「えっと……まずは私が一人暮らしするための家と、家具。自分で料理を作らなきゃいけないから、今日の夕食の分の食料かな」


「ん?」

 

 僕はテレシアの言葉を聞いて疑問符を浮かべる。


「どこの商会に行けばいいかな?」


「……いや、家となると商会じゃなくて不動産が良いかな」

 

 家?

 家をこれから買いに行くの?想像よりも大きな買い物だったんだけど。


「え?商会って何でも売っているんじゃ……?」


「いや、家の売買は国が主導で行われるから。自由な商会と不動産はちょっと別だよ」

 

 この世界の不動産は国王が握っている。

 

「なるほど……そうなんだ。じゃあ、不動産の方に行こうか」


「うん」

 

 テレシアが意気揚々と歩き出す……。


「不動産ってどこ?」


「……」

 

 ■■■■■

 

 不動産に来た僕とテレシア。

 

「こちらの物件はいかがでしょうか?」

 

 不動産の営業の人に案内されて、僕とテレシアは売られている物件を実際に見に来ていた。


「うん!これで良い!」

 

 公爵令嬢だとバレないように変装したテレシアが不動産の営業の人の言葉に自信満々に頷く。

 これはまだ一軒目である。


「へ?」

 

 これはまだ一軒目である。


「ここにしよう!……なるほど。ここから私の生活が……」


 これはまだ一軒目である。


「楽しみだ!」


「おっ……お買い上げありがとうございます。それでは契約なさるということでよろしいでしょうか?」


「あぁ。大丈夫だ」


 不動産の営業の人の言葉にテレシアは頷く。

 まだ一軒目である。

 他の家は見ていないし、比べてもいない。


「……」

 

 まぁ、テレシアが満足そうにしているし、別に僕が口出す必要ないか。

 嫌なことがあればもう一つ買えばいいだけだもんな。

 公爵令嬢なのだし、それくらいの金額は持っているだろう。

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