第28話
ラタリタリタ……ラタリタリタ……。
教室に独特の音楽が流れる。
これは、前世で言うところのチャイムのような役割を果たしている音楽であり、これがHRや授業の開始を知らせる音楽となる。
久しぶりにキーンコーンカーンコーンが聞けると思ったんだけど……まぁ、あの音楽が異世界にも波及しているわけないよね。
地球でも国を一つ変えるだけで音楽が変わるのに、異世界で変わっていないことはないだろう。
ここは地球の日本で作られたゲームの世界……今、最もわからないのはこの世界についてだ。
「良し。それでは最初のHRを始めるぞ」
教室の前。
教卓に立っている先生が話し始める。
教室の景観は日本の教室の景観と全く同じである。
「まずは俺の自己紹介からだろう。俺はこの一年間君たちのクラスの担任を任されているガイアだ。よろしく頼む」
教卓に立っている先生、ガイア先生が僕たちに向かって頭を下げる。
黒い髪に黒い瞳を持った筋肉質の男性である。
髪と瞳は日本人のようであるが、その体格は欧米ようにガッシリとしていて身長も高い。
……僕にその身長を分けてほしいね。
僕の体は悲しいくらい成長していないのだ。日本であれば、背の順と屈辱の格差制度によって先頭に立たされて晒し者にされ、チビという罵りを受けることになる。
「俺の自己紹介……は別に特に無いな。残念なことに。俺は最初からここで教師として立っているため、他の先生たちのようにどこかの騎士団で活躍していた、って話もないからな」
嘘である。
ゲームの知識のおかげで色々と知っている僕はガイア先生の活躍していた話がない……なんてことがないことを知っている。
この国には幾つもの騎士団がある。
近衛騎士団。国竜騎士団。黒鉄騎士団。魔剣騎士団。魔導騎士団。魔法騎士団。第一騎士団。第二騎士団。補給騎士団。治安維持騎士団。
用途に合わせて、多くの騎士団が用意されている。
これらの騎士団で超エリートされる騎士団は近衛騎士団。国竜騎士団。魔導騎士団の三つ。
この学園の先生はどの先生も優秀な人たちであるため、この三つの騎士団で働いていた経験を持っている先生であることが多い。
ガイア先生はこの三つの騎士団には所属していない。
しかし、裏の。
この三つの騎士団よりもっと入るのが困難である裏の騎士団、存在を秘匿されている『影』と呼ばれる組織の元メンバーであることを知っている。
この人の優秀さはエリート揃いの教師の中でも頭一つ抜けているだろう。
「まぁ、俺のことは置いておいて。みんなの自己紹介をしてもらおうかな」
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