第22話
「あ、えっと……お、おはよう?」
三天の月が沈み、双極の太陽が登った朝。
僕は酷く気まずそうなアレナに声をかけられた。
「うん。おはよう……そんなにビクつかなくても良いけど。別に僕はアレナたちに危害を加えるつもりはないし。一宿一飯の恩義があるしね。まぁ、厳しいかも知れないけど」
「ふ、ふふふ……平然と。今までと変わらへんように話しかけてええんやったら話しかけるとも!絶対に逃さへん。うちらの商会が頂点に立つ、強力の切り札になる……!」
「そう言ってくれると助かるよ」
商会の頂点に立つのは厳しそうだけど……アルファたちが運営している商会の勢い、というか商売の仕方エゲツないから多分勝てない……。
ねずみ講とかやって、一つの国潰しているし……。
やばいよ……あいつら。僕がドン引きするような方法で金儲けをしているから……。
いつかエゲツない感染症を広めて、それを自分の商会の薬で治すなんてことまでやりそうで怖い。
出来るだけの知識はあるはずだからね。
「よし!ほな、学園の方に行くで!今日は入学式やさかいね!」
「そうだね。何か荷物とかいるっけ?」
「試験が終わったときに話しとったせんせの言葉を聞いてへんかったんか……?入学式が終わった後は各々クラスに別れて、教科書類が配られることになるさかい、カバンは持っていおいた方がええで。……あっ。クラス発表は後であるさかい。まだわからんであってんで」
「そうか。ありがと」
「あ、カバンはある?あらへんならうちらのところで用意するけど……」
「いや、さすがにあるよ。……なかったら大分問題でしょ」
僕は異空間収納に仕舞っていたカバンを取り出して、アレナに見せる。
「……さも当たり前のように詠唱も魔法陣も無う大魔法を使わんとほしいんやけど」
「いや?魔法陣は描いているから、見せていないだけで」
手の皮の下。
己の肉に直接魔法陣を刻印しているのだ。
魔法陣を予め自分の体に刻印していればすぐに魔法を発動することが出来る。
僕の体には色々な仕組みが施されているのだ。
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