詩?(むしろ男たちへ) 20231115


花は僕の黒い靴を嗤うために咲き

鳥は僕の焼けた喉を謗るために囀る

風は僕の乾いた肌をひび割るためそよぎ

月は僕の痴態を覗くため今夜も昇る


怯える僕は

洞に逃げこみ

盃に手を伸ばす


花を枯らす密謀

鳥の羽を毟るコツ

風の出所の秘密

月を叩き割る手品


すべて、君だけが笑って聞いてくれるのに

言葉はまた、僕の内殻に空しく沁み込んで

空気は震えず、届けることができない


「あなたにとって、仕事はスポーツではなかったの」


変わらない僕は変わっていない

だけどこいつには一度ひどい目にあわされたから

今度は全霊で悠々と勝たなきゃいけない

あの自分を超えているための復讐だ

今だけは仕事じゃない

似合わないけど自分で在るためなんだ


ある夜は

ある夜は吶喊の動悸がおさまらず盃を呷る

ある明けは

ある明けは夏の氷像の様に溶けそうで盃を呷る


そんな僕を、君はたまに見ている

でも言葉はまた、酔いの暗闇に悲しく溶け込んで

汚泥を這っている、君に渡すことができない


だけど一つ我儘がある

たまに僕をみてくれ

時々僕だけをみてくれ


何も約束はできないけど

転がり落ちる前に止まれそうな気がする

きみが僕を見てるとき

そんな気が少しする

もう少し我儘を聞いててくれないか


多分

おそらく

ことによると

僕は君をとても愛している

君だけはすべてを笑って聞いてくれる

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