「見ている神がいないなら、この物語は『祈りの灯火』です」

まだほんの「はじまり」なのに、どうしてこんなにも胸が締めつけられるのでしょうか…。
優くんと天ちゃん、あの小さな手と手のぬくもりだけで、世界に立ち向かおうとする姿が、ひどく尊くて。
まるで、終わりの見えない夜の中に、そっと灯された祈りの火のように思えました。
“魔獣”や“神”といった、畏れや力の象徴のような存在が登場する世界の中で、
それでも描かれていくのは、母のぬくもりだったり、兄妹の気遣いだったりという、
誰もがきっとどこかで知っている、小さな優しさなのですね。
“ハンバーグ”や“ランドセル”のような何気ない日常描写にすら、どこか光と影が混ざっていて、
読むたびに心がざわついては、じんわりと温められるのです。
「改編の日」、そして「もう一つの感覚」。
これから何が起きていくのでしょうか…
けれど私は、たとえこの物語がどれほどの闇を歩くことになっても、
優くんの声が、きっと天ちゃんのために灯り続けると、そう信じたいのです。
拙い感想ではありますが、
この物語に、そしてこの物語を紡がれたあなたに、静かな感謝を込めて。

その他のおすすめレビュー

黒宮ミカさんの他のおすすめレビュー70