『さよなら僕のパラノイア』



 まだほのかに文化祭の残り香を感じさせる日継の校舎、その屋上。落下防止用のフェンスに囲われた青天井の下にオカルト研究部は集まっていた。


 一同の視線は錆び付いた給水塔に向けられている。その上にはフードを被った男子生徒。季節の風に撫でられて、白い背景に背中の黒をくっきりと落としている。




「……ゼロ!」




 黒はゆっくりと振り向いてオレ達を確認してから、折っていた足を伸ばし梯子を滑り降りた。

 細身の長身が身軽な動きで足場から離れ、床を見下げたままオレ達の前に立った。




「約束は守る。 やつがれは……、いや、ぼくは、文化祭ステージでの勝負に負けた」


「じゃあ、野崎を元通りにしてくれるか?」


「ああ……。 だがしかし! ひとつだけ、これだけは認めろ! 勝負には負けた。 より高くオーディエンスを沸かせたのはそっちだ。 それでも、音楽で勝ったのはぼくだった! ぼくの音楽は最高だった。 ぼくが時間と労力をかけて一人でなんとか作り上げたあの曲は! 詩は……、演奏は……。 あの場においてずば抜けたものであったと……、認めておくれ」


「そりゃあそうだろ。 オレ達は勝負には勝ったが、音楽ってジャンルの総合点じゃお前の方が圧倒的だった」




 そんなことは、あの場にいた誰もが分かっていたと思う。きっとオレ達のバンドのシンガーになってくれたアリサだって、恐怖を感じていたと思う。ゼロというアーティストの底力に。彼のセンスに。その技術力に。




「誰だって分かってることを聞きたがるその理由。 それは、一人が不安になったからだろ? 自分のやってることは正しい。 自分の持つセンスは間違いがなく素晴らしい。 これまで揺るぎすらしなかったその信仰が、他人から見て真実なのか確かめたくなったんだろ?」


「…………そうだ」


「お前の音楽は凄い。 個性もあって、尖っていて、磨かれてる。 オレが知ってる学生の中でズバ抜けた一番の音楽センスの持ち主。 でも足りなかった。 何かが欠けていた。 ……お前自身、オレ達とやり合う前からこう思ったことがあったんじゃねえのか? って」


「……………………そうだ」


「オレ達は認める。 お前の音楽を。 だからお前も認めてくれ、お前の弱みを」


「…………もう、認めている。 貴様らの演奏を聴いたあの時にな」




 顔を上げたゼロのフードの内には、二つの赤眼がぼんやりと浮かんでいる。




「…………『終わりなき絶望エッジ・オブ・ダークネス』。

 闇塗れの『心』よ、再び岩蓋の下へ沈澱せよ。

 野崎海舟と言ったな?

 貴様の†建前†を白日の下に引き上げる」




 ゼロの腕から放たれた黒い霧の触手が野崎に触れる。そして、コップのひび割れから液体が流れ零れてしまうように、触手の一本が野崎の『心』の隙間を見つけ、右胸なら肉体の中に溶けて入り込んでいく。




「……ぅ、ぐ!」


「……KIRA! 本名は神無月だったな。 やつがれの力、『終わりなき絶望エッジ・オブ・ダークネス』の能力は闇の操作だ。 周囲の闇を操り、その強弱や形状を変質する事が出来る。 他者の闇を引き出し、再び『心』の奥底へ押し戻すことも可能だ。 このまま続ければ、この女は元の人格に戻るだろう。 約束のとおりに。 だが……、それで良いのか?」


「……何が言いたい? オレが野崎が元に戻るのを嫌がるとでも?」




 野崎の目蓋がゆっくりと落ちる。

 胸から伸びる黒い闇が全身を覆い始める。




「貴様の為ではないよ。 この女の為にだ。 やつがれは野崎海舟の闇に触れ、『心』に触れた。 故に分かるのだ……、その者が負った傷の深さを。 この女は傷を埋め、隠し、覆っている。 治癒などしていない。 ただ蓋をしているだけだ。 中では腐って膿が湧いている。 しばらく裏人格と交流して少しは気が付いただろう? この女の『心』はいつもビクビクしていて、泣いている。 親と別れ、世間に見放され、それでも夢を追い続け……、金もなく、支援もなく、独りで絵を描き続けた。 だがそんな日々が嫌ではなかった。 何もかも白黒ハッキリしているからだ。 貴様ら友人が土足で日常に入ってくるまでは――――、」


「待て、やめろ! お前が勝手に野崎の本音を口にするな! 野崎はそれをどうしても隠したくて堅物な性格になったんだ! 血の涙を流して! だから他人が勝手にペラペラ公開しちゃ駄目だッ!」


「……貴様らと関わる内に、白黒つかない曖昧なものばかりが自分の中に増えていった。 だが、捨てられなかった。 そして同時に、失うのも怖くなって――――、」


「柊ィッ!」




 ゼロの胸ぐらを思い切り掴んで引っ張った。

 野崎海舟の友人として、仲間として、これ以上……、口を開かせてはいけないと思った途端、身体が動いていた。


 野崎は気難しい。だが気難しいのは、たくさん考えて悩んでるからだ。

 それを他人が要約して公表したら、重みが薄れちまう。野崎の人生は野崎のものだ。野崎が、野崎自身が語らなければいけない。




「この女の闇は深い。 『心』の内側に……、過去と現在で大きな矛盾が発生している。 建前を剥がし、矛盾を認めさせなければ……、いずれ道を間違える。 ちまたを騒がせる凶悪犯罪者やテロリストと同じ、脅威になる。 だから神無月がぼくにしたように、自己矛盾を認めさせなければ……」


「……野崎は、踏み外したりしねえよ」




 野崎の表人格と裏人格、両方を知った上で言えることがある。野崎なら、矛盾を越えられる。

 野崎は人一倍に考えて、悩んで、苦しめる人間なんだ。だから、矛盾だって受け止めて、もっとエゴい自我に昇華させるはずだ。




「オレ達は野崎の友人だ。 でも、だからと言って勝手に干渉しない。 待つよ。 あいつが自分から助けを求めるまで。 あいつなら一人でも自分の中のことなら上手くやるはずだ。 だから、もうどうすりゃ良いか分かんねえって言い出すまで、待つ。 そうしなきゃ、あいつに失礼だ」


「良いのか? この女は、貴様らに裏人格として本音の姿を晒したことを記憶している。 明日には以前より強く『心』の蓋を閉めてしまうかもしれない。 このまま建前を剥がしたままにすれば、自然と『心』は打ち解けるだろう。 矛盾は溶けて消える。 強力な思想を持つ者にとって育ちきった矛盾は癌だ。 致死性の。 いつか矛盾を越える日も来るかもしれない。 だが失敗すれば――――、」


「いいんだよ」




 野崎はオレを監視するために、学校へとやって来た。同じクラスに。『いつもの場所』に。2-Dに。オカルト研究部に。

 しかし監視を命じた『少数派ルサンチマン』は既に手が切れているに等しい。リーダーは不在、参謀役もおらず、下からは怪しまれ、世間では非常警戒。つまり、今も監視しているのは別の理由……、もっと個人的な関係の継続のための名目だったのだと思う。


 でもこっからは逆だ、オレが野崎を監視する。

 野崎が野崎でなくならないように。矛盾に負けちまわないように。いつでも手を差し伸べてやれるように。友達として監視する。




「だから、いいんだ。 それにもし失敗したってな、


「……そうか。 ならば――――、」




 闇の球体が野崎を飲み込み、渦巻き、そして……、ぼとりと吐き出した。




「野崎っ……!」


「げほっ、がっ……、はっ……! 全く、酷い気分だ……!」




 床に伏せる野崎に手を伸ばすが、払いのけて自力で立ち上がった。

 髪は長いままだったが、起き上がった野崎の目には光が宿っている。死んだ目をしていない。いつも敵を探しているような、建前の目だった。


 その目を見て安心をする日が来るなんてな。




「描きたくもないのに描かされた絵を、勝手に私の自信作だと称して展示されていたような気分だよ。 最悪だ。 嗚呼、最悪だよ。 悪夢と信じたい。 生涯永劫、二度と味わいたくはないね……、こんなものは」


「良かった、元に…………」


「特に気に入らなかったのは君だ、煌。 私が正常な判断を出来ないのをいい事に、好き勝手してくれたね? 私に楽器を弾かせ、使用人の衣装を着させ、遂には精神薄弱であることをいい事に監視関係を上塗ろうとしていただろう? 確かに君と私は友人だ。 友人だとも。 しかし、友人の定義とその言葉の領分は人それぞれのはずだよ。 私における友人とは――――、」


「そんだけ話せたら……、元通りだな。 柊、約束を守ってくれてありがとう」




 野崎の睨み目が、オレから柊へと向く。




「……謝らねばな、野崎海舟。 ぼくはお前の『心』の闇を操り、無断で人格を裏返した。 そして過去を語った」


「やめてくれ、私は君から謝罪を受け取るつもりはない」


「何……?」


「基本的に……、仮面持ちの闘争は最初の一撃で勝負が決まる。 権能が人知を超えた強力な異能である故に、不意打ちをすることが最強の戦術となるからだ。 だからこそ、先制攻撃は強い。 それを知っていたから私は攻勢に出た、が……。 負けてしまった。 私の警戒と翻弄が足りていなかった。 負けた上で謝罪されるなどプライドに関わる。 御免だね、そんなのは」


「……プライドか。 確かにそうだ、ぼくも同じことをされたらキレる自信がある」


「ならばもう少し考えて発言しろよな。 それと謝罪を受けないということは、許しはしないという意味もある。 覚えておけよ、君も仮面持ちだ。 仮面持ち同士は『引力』によっていずれ衝突する運命にある。 その時は、百倍返しだよ」




 元の野崎に戻ってすぐに権能で殴りかかるかもと思っていたもんだから、かなり驚いた。


 これはまさか……、しばらく裏の野崎でいた影響なのか? 表と裏を隔てる壁が薄くなったのか?




「……誰か来るね」




 その言葉に、全員の動きが固まる。

 柊は闇を引き取ってフードを上げた。

 他に権能の証拠に繋がるものが残っていないか確認している内に、階段に繋がる扉が開け放たれた。


 そこに現れたのは、白い制服に身を包んだ大男。生徒会長の一条大亞だった。




「……やはりここか、柊」


「屋上の鍵は文化祭準備の為に渡されたものを使った。 利用用途は屋上装飾の取り外しのため」


「一般開放されていない屋上を利用するためき用意していた言い訳を聞きに来たのではない。 これを私に来たのだ」




 一条の手には一枚の紙。

 柊はそれを受け取って目を通す。




「…………ハッア!? なっ、何だこれは! 一条、一体何の冗談だ!? どうしてぼくが……!」


「強制ではない。 だが、おれは一人でも入ることに決めた。 否、おれの場合は責任を負う為にそうせざるを得なくなったというのが正しいが。 だから記載の通り、君も共に入ってくれれば嬉しいのだが」




 一条は柊の手から紙を引き抜き、今度はオレの前に立った。




「オカルト研究部部長、神無月煌。 文化祭の計画は見事だった。 演奏も、実行委員の手助けもな。 約束通り、おれはお前達の尻拭いをすることになったワケだが……、全ては演出だったと説明しても、中々に話題になってしまったことで教師陣から何度も追求されてな。 おれなりの対応を求められてしまった」


「まー……、あんな演技力じゃねー」


「ベリー棒読みでしたワヨネ! ビックリも下手ピーだたし」




 確かに、オレ達が乱入した時の演技はかなり下手だった。あんな失態を見られたからには、流石の一条と言えども教師を言いくるめるなんて出来ねえわな……。




「校長とも掛け合い、これで手を打つことにしたんだ」




 一条は持っていた紙を、見せつけるようにこちらへ向けた。




「…………下記生徒の、日継高等学校オカルト研究部への入部を認可する。 一条大亞……! 柊雫……!? はぁっー!? お前ら、オカ研に……!」


「顧問の霧山教師にも連絡済みだ。 今回の入部は問題の中心となったオカルト研究部におれ自身が管理人として参入し、二度と問題を起こさせないようにするものだ。 故に、部長による拒否権はない。 柊は別だがな」




 背中を向けていた話を聞いていた柊だったが、ゆっくりと振り向いてオレ達の前に立ち、意を決したように口を開いた。




「……貴様らの部活動に、入ってやってもいい。 やつがれには興味は無いが……、ぼくがより†皇帝†の座へと近づくためには……、前に進むためには、面倒事を経験することも必要だ。 自分自身の弱みを握る。 成長のための人質、己を諭す道具にするために。 そのためならば貴様らの友情ごっこに巻き込まれてやらんでもない……」


「なんだかスッゲー言い回ししてっけど、お前も入部希望っつーことなんだよな?」




 野崎が今にも大声をあげそうな声で間に入ろうとしたところを止める。

 こいつが言い出しそうなことは殆ど分かってる。「まさか彼らを本当に入れる気か」って顔をされているが、文化祭でやりたい放題やった報いが来ているのだから、オレ達に拒否権はない。




「一条は確定なんだろ? じゃあ一人も二人も変わんねえな。 ようこそ、オカルト研究部へ。 まさか、こんな展開になるとは思いもしなかったぜ」


「フン……、それはやつがれもだよ。 オカルトに興味は無いし、そこまで積極的には活動には参加しないだろう。 週に三度は授業後に防音室を借りて作曲活動をしているのでね。 だが光栄に思うがいい、†皇帝†たるこのやつがれが入部したからには、貴様らを弱小バンドからプロ顔負けの音楽チームへと進化させてやる。 ワンマンライブをすればチケット即完、どんな箱でも満員御礼! 最高だろう? あのシンガーの件といい、貴様らはヘッドハンティングの才能があるようだな。 クックック……、よろしく頼むぞ」


「何故かいつの間にかオレ達から誘ったことになってっけど……、まあいい。 よろしくな」


おれが入ったからには、オカルト研究部の活動内容にも厳しく目を通させてもらう。 これまでの活動内容などを記した書類があるなら、明日にでも見せてくれ」


「活動内容……、あー、今はそういうのあんま書き残したりしてなくて……」


「では明日から書け」




 と、一気に忙しくなった。新入部員が二人も増えたってだけで大変なのに、その二人はどちらも因縁深い人物で、尖った性格の持ち主だ。




「オレ……、部長やってけんのかなこれ……」




 不安もあるが、どこか気持ちは晴れ晴れとしている。

 文化祭の演し物もなんとかやり遂げた。野崎は元に戻ったし、良い思い出になったと思う。


 この結果に満足している。

 結果に付属された副産物が二人の入部なら、オレはそれを全力で受け止めよう。

 部員同士の相性の善し悪しもあるし、きっと色んな問題が起きる。何が起きても皆で結束して攻略してみせる。今回のバンドみたいにな。



 それにしても本当に、とんでもないメンバーが集まってしまったものだ。

 『少数派ルサンチマン』の野崎。

 元『少数派ルサンチマン』の追放者カフカ。

 『廃棄物アウフヘーベン』の御山とメレンゲ。

 権能を持つが何処にも所属しない柊雫。

 権能を知らず持たない一条大亞。

 そして、オレは全ての狭間に位置している。



 オレ達の青春は始まったばかりだ。

 混ざりもんのオレ達だからこそ出来ることもあるだろう。オレは、そういう可能性に賭けたい。


 こいつらと、一緒に。






―――――――――――――――――――






「ねー、ラジオさんまた調子悪いよ」


「うっそだあ。 先週俺が電池変えたばっかだぞ?」


「かっつんがプラスマイナス逆に刺しちゃってたりとか、したんじゃないの〜?」


「してねーよ、んな凡ミス! いや……、気づいてねえだけでしちまってんのかな?」


「遥夏、勝人、大丈夫だよ。 世の中に流通している電池が必要な製品は、基本的には入れる方向を間違っても入ってしまわないように工夫されてるものが多いんだ。 電池パックの形状とか、バネが着いてたりとかね。 それでも強引に入れることはできるけど、その前に電池の正しい方向がどっちなのか疑うよね普通は。 まあどれだけ工夫されてたって、使う方法をわざと間違えたらいくらでも火事とか起こせちゃうんだし、気をつけないとね」




 仁のデータバンクが猛威を振るう。

 それを邪魔するみたいに、コンテナ内にひび割れたラジオ音声が響いた。




「先日、世間を賑わせたロボットの…………視庁は…………、連続殺人事件として…………テロを扇動した…………、…………は未だ消息不明…………。 …………の頻度と異常気象の関係性に注目をした…………、」




 最近のラジオはこんな話ばっかりだ。

 断片的な情報だけでも、あまり良いニュースでないことはよく分かる。




「暗いニュースばっかでんなるー。 私も煌みたいにかっこよーく音楽やりた〜い!」


「あれ凄かったよなあ! 後から聞いたけどよ、あの時、校内放送使って学校中に演奏流してたらしいぜ? スケールがちげーよスケールが!」


「……楽しかっただろうね、煌」




 三人の中に、とある同じ思考が浮かぶ。

 「もし煌がまだ今も同じ学校だったら、僕たち私たちとバンドを組んでいたのだろうか」という、想像。

 もしもそうなら、青春をしていたのは日継高校のあの人たちとじゃなくて、『いつもの場所』のメンバーとだったのではないかという、妄想。


 そんな哀愁ある三人の静寂を、四人目の発言が切り裂いた。




「そのキラって奴、相当みんなと仲良かったんだな。 なーんか仲間外れで嫉妬しちゃうぜ」


「あ、ごめんね! アーデンも大切なお友達だよ。 煌はね、学校バラバラになっちゃうまではよくここに来てたんだ」


「へー、元パーティメンバーだったんだ?」


「アーデン君にも前話したよね? ここにたまに来る女の子がいるって。 煌はその兄なんだ」


「兄妹二人で遊びに来てたのかよ、いいなあ仲良さそうじゃん。 俺が皆と出会うのもうちょい早けりゃ、顔合わせてたかもなー」


「アーデンもバンドやりたかったのかよ?」


「違ぇーよ勝人! 俺、友達すくねーからさ。 仲良くなれたらなあって思ったんだよ」




 あっ、そうだ! とアーデンは飛び上がり、




「妹じゃねえんだけどさ、オレも連れてきていい? いっつも遊んでる可愛い女の子! 皆に紹介してえ! ちなみに、彼女じゃねーぜ? 俺にとっちゃ妹みてーなもんだ。 あいつも友達少ねーから、ここ連れてきたら喜ぶだろーな!」


「え、女の子! 助かる〜、最近ここ男だらけだったから」


「よっしゃ〜! じゃあ早速明日にでも連れてくるぜ〜。 なんか緊張するなー、ははは」




 和気藹々わきあいあいとした雰囲気がコンテナ内に充満する中、仁だけが自身の内側に水溜まりのように広がる冷ややかな感情に違和感を感じていた。


 この感情の正体はなんだ?

 その答えは出ないまま、今日も夕日がジワジワと時間を溶かしていく。



 有限な青春が、削られていく。





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