第160話 旋風にもならない
一応『初めの方は』とは言ってくれているので初手からリーリャをぶっ飛ばすという事は無いだろうから一応は安心して良いだろう。
多分。
そしてフランとリーリャは修練場の開いたスペースへと移動していくのだが、その姿を見た既に魔術の練習をしていた周囲の学生たちが練習を止めて修練場の外へと散らばって、観戦し始める。
おそらく近いうちに開催されるトーナメント戦に向けてリーリャの実力を見ておきたいとか、そういうものなのだろう。
そもそもまだ入学してきたばかりのフランの実力が気になる者など、ここにいる生徒会長のオリヴィアさんだけだろうし。
そんなこんなで結局修練場にいた人たちは捌けてしまった為、フランとリーリャはそのまま修練場の中央まで歩いて行く。
「では、始めましょうか」
「はいっ!! よろしくお願いしますっ!!」
そして二人は中央にいくとお互いの距離が五メートルほど離れたのを確認すると、オリヴィアさんが開始の合図を出す。
「始めっ!!」
その瞬間リーリャは風の魔術を使ったのだろう。
周囲に強風が吹き荒れ、魔術を行使したリーリャの周囲は砂が舞い上がって姿が見えなくなってしまう。
おそらく自身の姿を隠す事が初手で風魔術を使った理由であろう。
そして、その舞い上がった砂塵は竜巻状になり、さらにそこから竜巻が五つに分かれる。
「成程……これでどこの竜巻にリーリャが入っているのか分からなくなるという事か。 でも、甘いな」
これがただの学生相手であれば通用するレベルなのだろうが、相手はあのフランである。
こんなレベルの竜巻では、フランにとっては旋風にもならないだろう。
そしてそれはフランが余裕な表情を崩さない所から見ても当たりのようで、その余裕な表情をしているフランにリーリャはプライドを刺激されたのか、早速五本の竜巻がフランを襲いにかかる。
「私の竜巻相手にいつまで余裕そうな表情をできるか見ものだなっ!!」
そして襲いかかってくる五本の竜巻を見たフランは焦る事もなくその自慢のドリルを回転させ、空気中の
「あ、ヤバイわ、これ」
その、フランが今から行使しようとしている魔術と、そしてその威力を予測した俺は、フランが魔術を行使する前に走り出した。
そしてフランは風には風をという考えで、竜巻ごと風魔術で吹き飛ばしてやろうという考えなのだろうが、流石に洒落にぎりぎりなっていなさそうな威力で突風を発生させて五本の竜巻を打ち消してしまう。
当然その威力は凄まじく、人間が立っていられる威力はとうに超えており、なんなら吹っ飛んでしまうレベルである。
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