第159話 んん?
「では先ほどの私の無礼の謝罪も兼ねて、私がそこのフランとかいう娘と一緒に模擬戦をしてやろう。 そうすればその娘の魔術の強さや、実践的であるのかなどが分かりやすいだろう?」
そしてリーリャは先ほどの無礼な態度を全くもって悪いと思っていないという事がその傲慢な態度から丸わかりだと言うのにそんな事を宣うではないか。
いくら何でもここまでしては流石のオリヴィアさんも我慢の限界のようで顔が真っ赤になり怒る寸前というような表情をしているではないか。
何だろう? その表情だけで俺のジュニアが縮み上がってしまうではないか。
「リーリャさんっ!! 貴女って人は──」
「あ、はいっ!! そうしてくれるとわたくし、とても有難いですわっ!! ぜひよろしくお願いいたしますわねっ!!」
そしてオリヴィアさんが怒った瞬間、フランがリーリャの提案を快く受け入れるではないか。
これはまずい事になったぞ、と俺は直感的に思った。
ここで俺はオリヴィアさんが止めてくれると思ってくれたのだが、俺の読みはまんまと外れたようである。
そもそもフランは今まで模擬戦といえば俺かフレイムとしかやった事がなく、ただ魔術を行使するというだけであればまだ手加減に失敗したとしてもまだ何とかなるというか、怪我人が出ないという点であれば確率は低いだろうと安心できるのだが、それが対人形式の模擬戦となると手加減ができるのか不安でしかない。
「ぐぬっ! ……い、良いだろう。 では早速模擬戦をしよう。 やっぱり怖いから嫌だと言っても後戻りはできないからな?」
「はいっ!! よろしくお願いしますっ!!」
そしてまさかフランがここまで食い気味にリーリャとの模擬戦を了承するとは思っていなかったのかリーリャは少し押され気味なのを何とか隠しながらなおもフランに対してマウントを取ろうとするのだが、フランには全く通用していないどころか余計にやる気が出てしまったようである。
もし今フランが犬になったら尻尾をはち切れんばかりに振り回しているだろう姿が容易に想像できてしまう。
それはまるで新しい玩具を与えられた犬の用だ。
「フラン」
「何ですの?」
「ほどほどに……いや、かなり手加減をしろよ? そして徐々に相手に合わせていくようにな?」
「わかりましたわっ!! 要は、最初はほどほどにって事ですわねっ!!」
「あぁ、そうだね。 …………んん?」
あれ? 何か違っているような気がするのだがどの道フランが手加減をすると言うのでれば後は見守ろう。
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