第73話 父親譲り
「うんっ、おいし──」
「美味しいですわぁっ!? なんなんですのこれっ!? ただの魚のフライではないんですのっ!? いつも食べている魚のフライは衣の食感も味も違いますし、魚もふわっふわでまったくの別物ですわぁっ!! それにこのソースもこの『天ぷら』という食べ物に合っており、今までで食べてきたどの料理よりも美味しいですわねっ!! それこそ毎日これでも良いですわっ!!」
そして俺が一口天ぷらを食べて、その美味しさに自画自賛しつつ舌鼓をうとうとしたその時、俺の隣で食べていたフランが天ぷらを食べてどこぞの料理漫画ばりにテンション高めで語り始めるではないか。
しかしながら気持ちは分かるが毎日は流石にきついと思うぞ、と思うのだが俺も小学生の頃は好きな食べ物をお腹いっぱい食べてみたいと思ってみたものである。
そして実際一人暮らししてから毎日好きなものだけ食べてみて分かったことはあの量だから美味しいのであって限度を超えた量やサイクルで食べると逆に一生見たくもないって思ってしまうくらいに身体が受け付けなくなるので何事もほどほど一番である。
しかしながらそれを言ったところで失敗しないとこの感じは分からないだろうし、今のフランの感じを見るに間違いなく明日から毎日食べるであろうから俺が言うより自身で体験した方が早いだろう。
「『天ぷら』もそうなのだが『ザルうどん』というのもかなり美味いな……そしてソースだけも良いのだがそこに薬味を入れるとさっぱりとした生姜にシャキシャキとしたネギ、鼻から香る胡麻の風味がより一層この『ザルうどん』をレベルを一つ上げてくれる。 それにくどくなくさっぱりしている為胃もたれを気にする必要もなさそうだ。 若者は少し物足りないだろうが、その場合は『天ぷら』を食べるときに使ったソースで『ザルうどん』を食べれば良いし、なんなら天ぷらと一緒に食べても良いだろう。 まさに完璧の食べ物と言えるっ!!」
そして、フランのあのムーブは父親譲りだったのかと、ザルうどんを食べて熱く語り始めるダニエルさんを見て思う。
ちなみに奥さんであるリーシャさんはかき揚げにハマっているみたいなのだが二人みたいに芝居がかったような表現こそしていない。 していないのだがかき揚げをこんもりとお皿に盛っているのが見えるので相当気に入ったのであろう。
メアリーにいたってはまるで審査員かの如く真剣な表情で一口食べてはメモをしており、料理が趣味というだけの事はある。
きっとウェストガフ家に仕える前は兄のために料理を作ったりしていたのだろう。 そして作っていくうちに趣味となったパターンである事がなんとなく窺えてくる。
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