第55話 LUK上昇





「と、いう訳でいきなりで申し訳ないのですがセバスさん、コイツの根性と性格を叩き直して下さい」

「畏まりました、ローレンス坊っちゃま」

「はっ!? おいっ!! 聞いてねぇぞっ!!」

「命令されていないとは言えあなたのご主人様であり、更にウェストガフ家の者でもあるローレンスぼっちゃまに対してこの態度とは……確かにそれなりの躾が必要ですね。 これは躾甲斐がありそうです」


 いつもニコニコで好々爺といった感じのセバスなのだが、この猿に向ける笑顔は何故か笑っているように見えないのは気のせいだろうか? 


 そんなこんなで新たに奴隷として初めて俺が自分の金で購入した猿、もといキースはセバスに首根っこを捕まれそのまま引き摺られていく。


「あ、一応セバスの言う事は絶対厳守ね」

「フッざけんなっ!! 誰がこんなジジイの言う事なんか聞くかよっ!!」

「残念、これ、命令なんだよね」

「片足がなくてもできる鍛錬はございます。 ローレンスぼっちゃまに片足を治して貰えるまで休めるとでも思ったののですか?」

「畜生ぉぉぉおっ!!」


 うん、キースが加わっただけでかなり賑やかになってきたな。


 そしてキースの妹であるメアリーはというと今現在年齢は十六歳との事で精神年齢が近いのか早速マリアンヌと意気投合して話に花を咲かせている。


 因みにフレイムはというと『私も負けてられないのでセバスさんと一緒に鍛錬して来ますっ!!』と、セバスについて行った。


 一体、フレイムはどこを目指しているのだろうか? と時々不思議に思うのだが本人が強くなりたいと言うのであれば別に止める必要もないだろう。


 強くなればなるほどギルドでの稼ぎも多くなるだろうしね。


 さて、今回購入したキースなのだが勿論勢いだけで購入したわけではない。


 オークスさんにキースのスキルを教えてもらった時、オークスさんはあまり教えたくなさそうな表情をしていたのだが、そんなキースのスキルはスキル【LUK上昇】である。


 そしてオークスさんの表情からしてもこのスキル【LUK上昇】というスキルはゴミスキルだと思われているようなのだが、しかしながらこのスキル【LUK上昇】の効果、LUK、すなわち運値が上昇するという能力を知っている俺からすれば喉から手が出るほど欲しいスキルの一つである。


 何故ならばこのスキルは仲間にも同様に効果が発揮される為、思っている以上にぶっ壊れているスキルの一つでもある。


 今回の件も、妹さんは犯されてないし、キースは結局妹と一緒に住めて足も治してもらえる事を考えればどうみてもスキルの恩恵であろう。


 因みに他にも攻撃、防御、素早さ、魔術攻撃、魔力と全体バフ効果をもつスキルはあるのだが【LUK上昇】同様にかなり評価は低い為おいおい集めていきたいところではあるが、こればかりは時の運だろう。 


 その為最悪奴隷に新しいスキルとして覚えさせても良いと思っている。

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