間章 閑話

第81話 SS:小日向さんと健全な水着

「小日向さん。これ、日頃の感謝を込めて」


 というわけでプレゼントを頂いてしまいたいたいただいてフォォォォォォ!


 ――再起動中です。少々お待ちください。




 どうも、あまりにも興奮して鼻血が止まらなくなった小日向檀です。


 プレゼント、プレゼントを頂いてしまいました。

 ふ、ひひ、ふひひひひ。


 ダメです緩んだ頬が元に戻りません。


 プ・レ・ゼ・ン・ト!

 だってプレゼントですよ!? これって私の好感度を上げたいってことですよね!?

 な、中身は!? ダイヤ? それとも花束? 今の私はバグだらけなので花束ひとつで寝室イベント解放してしまいますぞ王子!


 し・ん・し・つ・イ・ベ・ン・ト!


 うへひゃどうしよ、そうなったらどうすればいいの私!


 淑やかに身を任せればいいの!?

 それとも事細かに実況すればいいの!? エロ同人みたいに!


 とにもかくにもアヘっちゃいますよぉぉぉ~~~!


 ――再々起動中です。暫くお待ちください。




 ふぅ、いくらか落ち着きました。


 プレゼントといっても、多分あれです、お中元みたいな物ですよきっと。

 ふひひひ、何が入ってるんでしょう。


 おっと、まだ開けませんよ?

 まずは中身を想像します。


「良かったら使ってくれ」


 と言っていたので、食べ物ではないはずです。

 なら実用品でしょうか?


 天童さんが私にくれる実用品……ペンかな?

 いやいや、大きさ的に原稿用紙くらいはある。でも紙ほどペラペラじゃない……なんだろ。


 下敷き? 硬さはそれくらいだけど、やっぱり下敷きよりは厚みがある。


 つんつん。

 これは……弾力?


 なんでしょう。このリア充が好みそうリアジュスティックな包装のブラックボックス具合……あれ、少し見覚えがあるような……。


 思い出しました。

 これは、確か近所のイヲンで貰える袋です。


 ……と、となると、もしかして中身は――服!? 服ですか!? なにそれなにそれ超好感度高そうじゃないですかガチなヤツじゃないですか夏だけど春がキィィィィエェェエェァァァァ――


 ――再々々起動中です。わりとお待ちください。




 服で、間違いないでしょう。


 初めてです。

 ええ、初めてですとも。

 そもそも殿方にプレゼントを頂いたことが初めてですとも。


 そして初めてのプレゼントが服。


「……ごくりんこ」


 でも、あれ、おっかしぃぞ~?

 服にしては、なんだか、形が、おかしいような……。


 この形は……下着、だよね?


 あ、あはは。まっさか~。

 お隣さんに下着送る人なんています? ないない、バツゲームですよそんなの。


 ……バツゲーム、だったのかな。


 そう考えたら、なんだか少し気分が落ち着きました。

 いやはや、天童さんに限ってそんなこと無いって信じてますけど。


 ふひっ、はしゃいじゃった♪


 そんな感じです。というわけで、オープン・ザ・プレゼント!


「……」


 袋の中には、上下セットの……


「水着!?」


 後ろから見ても


「水着!?」


 下から見上げても


「水着ィィィ!?」


 お、思わずセルフ三カメ演出をしてしまいました。

 

 ……ええと、え、えぇぇぇ?

 良かったら使ってくれって……え、そういうこと?


「……」


 な、なるほどぉ!

 天童さんは私の仕事がエロ漫画作家だと思ってるから、仕事でも使えて(意味深)、プライベートでも使えて(意味深)、プライベートでも使える(健全)ってことですね!


 い、いやぁ~、気が利くなぁ……。


「……とりあえず着てみましょう(真顔)」


 ごそごそ……あ、サイズばっちり。

 さてさて、鏡を立てて――すっごい似合ってる!

 

 え、うそ、やだ、天童さんセンスいい!


 これって……え、やだ。かわいい。

 もうこれ隣を歩かせる気満々じゃないですか!

 

 誘われちゃう!?

 誘われちゃうのプールに!

 そして、その後は……やだ、ダメ、そっちのプールは違うのぉぉぉぉぉぉぉぉ――!




 ※誘われませんでした。

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