第20話 人生ゲームを作った日(2)


 * 2日目 *



「ぃよし! 目標達成!」


 深夜。みさきの隣で絶叫した。


「はは、指の感覚がねぇよ……」


 脳内時計による計測で、1秒に3回のタイピングが出来るようになった。これ、良いペースなんじゃねぇか?


 何千回繰り返したんだよって話だが、クリアしたのだから、喜んでも良いはずだ。


「そろそろバッテリやべぇな」


 このボロアパートは電気が通っていない。

 昨日は昼間に適当な店から電力を得たが、この時間だと……ネカフェとかか?


「みさきを置いてはイケねぇよな」


 数時間前まで、じーっと見ていたみさき。いつの間にか寝ていたので、枕に寝かせて、それからは静かな寝息だけが聞こえていた。


「……寝るか」


 ロリコンと出会ってから一睡もしていない。まだ体力には余裕があるけれど、先の事を考えたら今がベストだろう。


「いや、一応は少しだけ予習して……」


 本を開く。


 まずゎ

 最小のコードを載せるぉ(*゜▽゜*)


 main(){}


 これだけ!

 これゎ、コンパイラたんにぃ、

 ここからスタートだぉ!


 って、おせーてるよ!


「寝るか」


 本を閉じた。

 この鬱陶しい文章に耐えて、座学に挑めるビジョンが全く浮かばなかった。

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