第124話 3店舗オープン





ドレミ、ファソラ、シドのお祝いを行った翌日、私は早速『プリン』『ステーキ』『アミューズメント施設』の開店準備に取り掛かった。



まず、『マリーラ•プリン』は、ドレミを店長兼料理長とし、『マリーラ•ステーキ2号店』はファソラを店長兼料理長に任命した。


2人は私が命の恩人であるからか、とても忠義を見せてくれているので、レシピを教えても問題ないと判断した。



お店自体はまだ建設できていないため、キャサリンの住む魔王城の調理場を借り、ドレミ、ファソラにプリンとステーキの作り方を教えた。



その間、魔族の男達はお店の建設を進んで買って出てくれた。


重そうな丸太や石材を軽々運ぶ姿はとても頼もしく、私は「いい子、いい子」と頭を撫でて上げる。



「ま、マリー大魔王様が、俺をいい子だって褒めてくれた•••」

「ずりーーぞーー!!俺だって、俺だって!!」

「結婚して下さーーーい!!」




なぜか作業スピードが上がり、お店は僅か2日間で完成した。




お次は、『アミューズメント施設』、あらためて『マリーラ•ゲーム』の番だ。



私は『地球物品創生スキル』と『家計簿スキル』を発動し、『アミューズメント施設(C)』を表示させる。



ゲームセンターとボーリング場が併設されたこの施設の価格は8億円(悪神様割引適用)。


キャサリンに相談したところ、ダイヤモンドはいくらでも採掘できるということで、100億円はそのまま貰えることになった。



それでも

8億円の買い物は緊張する•••



「えぇーーーい」



私は意を決して、『購入ボタン』を押した。



すると、瞬時にコンクリートで作られた2階建の大きなアミューズメント施設が現れた。


お店の外観には『マリーラ•ゲーム』と掲げられた電光掲示板と、お店の1階は6レーン完備されたボーリング場、2階はシューティングゲームやレーシングゲーム、メダルゲーム、アームゲーム等、かなりの種類のゲーム機があった。




「「「「わぁぁぁぁぁーー」」」」

「「「「すげぇーーーーー」」」」



私の後ろで見ていたキャサリンや大勢のサキュバスと魔族の男達から声が上がる。



私は『マリーラ•ゲーム』の店長となるシドに施設の使い方を説明した。

とは言え、ゲームセンターでアームゲームとメダルゲームしか扱ったことがなかった私も説明には苦労した。


特に、ボーリングはやったことがなかったため、どう投げてもガターばかりで、シドから「溝にボールを投げるゲームなのですね?」と言われてしまった•••。



因みに、アームゲームの景品のぬいぐるみは付属されていなかったため、マリーランドで販売しているマリーのぬいぐるみを用意した。


景品にならないのでは?と思ったのだが、


「か、かわぃぃぃぃーーー」

「まあ、まあまあ、なんと愛らしいの」

「お、俺は絶対に取るぞ!!」

「俺だって枕元に飾るんだ!!」


意外と高評価だった。




数日で3店舗全てが開店し、街の中が活気に溢れた。

元々、ダイヤモンドでお金に困っていないサキュバス、私からのモウモウ討伐依頼でお金を手にした魔族の男達は連日、お店やアミューズメント施設に通っている。


フシアナにも連絡したから、もう少し経てば魔王国ヴィニシウスからも観光客がくるだろうし、もう大丈夫かな。




開店を見届けた私は、ガーネットに帰ることにした。



「マリー大魔王様。お帰りになられるのですか?」

「うん」


「寂しくて、私、泣いちゃいます」

「私だって•••」

「うぅぅぅー」


私とキャサリンの話を聞いていたドレミ、ファソラ、シドは泣き出してしまった。


「お店、よろしくね」


私は3人を抱きしめ、あやしながら言った。



「俺達だって、泣いちゃうぜ•••」

「男だろ、我慢しろ!!」

「やっぱり我慢できねーー!!」


かわいいらしい魔族の男達の頭を優しく撫でてあげる。

男達は身長が2メートル以上あるが、頭を撫でてもらいたいらしく、自ら頭を差し出してくるのだ。


それもまたかわいい•••



「女の子を守ってね。討伐もよろしくね」


「「「はい!!この命に替えても!!」」」





私はみんなとの挨拶を終えると、『転移スキル』でガーネットの街に戻った。



「お帰りー」



家(ユキ)の前に転移すると、ユキが声をかけてきて鍵を開けてくれる。



「ただいまー」


「マリーちゃん!!」

「マリーお姉様!!」

「「「マリー様」」」

「ま、マリー」

「ピー」


家の扉を開けると、アイリスさん、アイラ、ラーラ、ナーラ、サーラ、ヒナ、サクラが一斉に私に駆け寄ってきた。


みんな私がいなくて寂しかったとか、疲れてない?とか、優しく声をかけてくれる。



なんか

いいな


家に帰って来たって感じがする。



アリサはお店かな?

ミアもいるかもしれないし、後でお店まで行ってみようかな。





と、


優しい気持ちで溢れていた私に、ビシビシと辺りの雰囲気が急速に冷え込んでいったのを感じた。



あれ?




「マリーちゃん、その指輪は何かしら?」

「マリーお姉様、私達のものとは違うようですね」

「「「マリー様とお揃いだったのに•••」



アイリスさん、アイラ、ラーラ、ナーラ、サーラは私の左手薬指のダイヤモンドリングをもの凄い形相で睨んでいた。



いや、

あの、


これは•••




その後、数時間、根掘り葉掘りダイヤモンドリングのことを聞かれるのであった•••。





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