第13話 言葉で作られる人間世界の意味

この当たり前の事が意外に認識されていないのが人間世界の不思議でもあります。


私たちの身の回りのモノには全て名前があります。それがどうしてそうなったのかを知ることは出来ません。そもそも何故、言葉が作られたのかさえ分からない。だけども、私たちは当たり前の様に言葉を話すのです。


そして、言葉が文字という記録が出来る力を得てから、我々は大きく変わり始めました。宗教が起こり文明が起こり、動物というより得体の知れない生き物に進化(もしくは退化)を始めたのではないかと思います。


文字を駆使して様々なモノを作り、生活環境を変えていきました。自然界から見るとそれは他の動物たちが決して生きてはいけない異様な世界とも見れる。自然が作り出す自然の世界ではなく、文字で表される非現実的な世界とも言えるでしょう。


従って、自然界では出来ないことが出来るのです。文字や数字で表すことさえ出来れば。


それを私たちに証明したのが資本主義ではないかと思います。お金という価値のない紙切れで人々を動かしこの文明を築いた。最初は大変だったと思いますよ。だって、昔は、仮にお金がどんなにあっても買いたいモノがないのだから・・・


そういう時代は今やフィクションかもしれません。それは、今から振り返る事でもフィクションに見えることでしょう。


パソコン、テレビ、自動車、飛行機、それぞれの機械は、それらの特徴を備える様々な部品から作られ、その機能を発揮している。それもこれも、誰かが文字と数字によって設計図を作るから出来る。


そして、資本主義が示したのは、お金というモノであらゆるモノを作れるということ。しかし、言葉の可能性はそういうレベルではないという事です。お金が流通する社会そのものだって言葉で作れるのです。


当然、お金というモノを使わない世界だって作れるという事。


お金によって、私たちの生活が便利になるモノは沢山作り多くの人を助けたことは間違いないのですが、だけども、その助けによって救われたかと言えば、そこまでの価値はなかったのではないでしょうか。


所詮、モノというのはその程度なのです。


それに我々の人生の全てを投じる価値はないのです。資本主義が上手く機能しなくなっているのはそのことを我々に教えているのではないかと思うのです。


従って、これから私たちがやるべきことは、自分がどういう社会を望むか?自分がどういう世界で行きたいかという事ではないかと思います。


そこにモノが必要ならば、それを作れば良いし、そうでなければ、別の何かを言葉によって作る事が求められるのです。後は、そこにお金の介在を許すかどうか?


介在させた方が上手くいくと思えばそうすれば良いし、その必要を感じなければお金を排除すれば良いのです。もちろん、私はお金を排除する方が新しい世界を作りやすいと思うので、後者を選びます。


そして、お金が存在するから存在する言葉群(貧富、格差、競争、戦争、勝ち負け、成功、失敗、窃盗、詐欺)をこの世界から追放することが出来ると考えるのです。


言葉で作られる人間社会は、言葉で変えることが出来る、いや、言葉でなければ変えることは出来ない。だから、お金ではないのです。お金が全てを変える世界しか知らない人ばかりなので、このことを誰も知らない。


だけども、それは嘘であり、そういう風に思い込まされているに過ぎないのです。


次回は、言葉が作る世界の不思議について書こうと思います。



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