7-16 リックの宣言
さてと、リックの方はどうかなっと。
叉匡丸のおっさん、なんか悩んでたから案外説得できるかも?
うん、まだ睨み合ってるな。
「おーいリックー」
『ケイト様、少々お待ちくださいませ』
お?今のはもしかしてニーズヘッグケーニッヒのAIか?
『終わったみたいだね』
今度はリックか。
どうやらリックのAIは執事みてーな性格になったみてぇだな。
やらかし後輩な感じのうちのとは大違いだ。
「まーな。で?」
『何度か打ち込んだから大体分かった』
何が分かったのか。
『さて、叉匡丸さん。いい加減腹を括ってもらえないですか?』
『むぅ………』
あ~、やっぱ迷いがあったんね。
何にかは知らんけど。
『今の教団の有り方に疑問を抱いているのでしょう?元々の教団の教義は相互扶助。助け合いの教義。しかし今はどうです?教団に従わずは排除と聞きました。戦いにおいては違いますが武人である貴方はそれを「良し」とせず、しかし雇われている以上、責を果たさなければと迷われているのでは?』
……リックって、プロファイラーか何かか?
さっきまで一応構えていたおっさんの構えが解けて棒立ちになってるぞ。
『迷うのはいい。だけど、武の道を歩む事を決めた本来の目的、忘れていませんか?』
『!?』
『僕は忘れていません。偉大な父の様に在りたいと願ったこの思いは!絶対に!!』
言うや否やリックが一気に距離を縮めた!
速い!
機体の性能もあるが迷いが全く無いからか!
『答えろ叉匡丸!何がしたくて武人となった!!』
飛び込んだリックの、ニーズヘッグケーニッヒの拳がおっさんの機体の顔面を捉えた!
おっさんの機体が仰け反る。
殴った拳で空かさず裏拳を放つも、おっさんが右手で止めた。
『むう!』
『そろそろ決断したらどうですか?』
『むむぅ……』
いや、おっさん迷い過ぎだろ!
さっきから「む」しか発音してねぇじゃん!
どうする?あたいも加わるか?でも、リックに任せたからなー……。
『……1つだけ。1つだけ良いか?』
『ええ』
『成すべき事と主君の命、お主ならどちらが優先か?』
あー……よくあるやつね。
その人の立場とかお国柄とかあるから一概に「こう!」って言えねーやつなんだよな。
状況にもよるが、あたい的には主君の命も、成すべき事も成す。
主君が間違ってたならそれを正すし、成すべき事も成す。
昔、大学のサークル仲間がやってたゲームで、そう言うシナリオが話題になってな。
そう答えたら「SAMURAIか?」「それは強い立場とか持ってる奴の発想なんよ」とか言われたっけ。
『決まってる。両方だ。そして主君が間違ってたなら正す。主君への忠誠や恩義も分からなくはないけど、それよりも大事なのは己の中の正義。それが僕の優先するべき事だ』
へー……リックもそーなんだー。
ふーん。
『ケイトさん。顔がニヤけてますよ?』
「う、ううううっさい!」
ちょくちょくグランドロアはいらん事を言う。
ったく、誰に似たん………あたいかorz
『………ふむ。相わかった!最後に1つ頼めるか?』
『何かな?』
『一手…合わせてもらえるか?』
『無論』
お互いが距離を取る……どちらも一足飛びに一撃を入れれる距離だ。
『宣言するよ。その機体の頭部を破壊する』
『ならば我もそうしよう』
そう言うとリックは拳を、おっさんは機体の尻尾を剣にして大上段に構える。
『参る!!』
先に仕掛けたのはおっさんだ!
対するリックは!?
『ニーズ!』
『パスは繋ぎ終えてます』
『行くぞ!!』
リックも一気に距離を詰めた!
『我龍剣秘伝!!砕覇!降竜けぇぇぇぇぇぇぇぇん!!』
振り下ろされるおっさんの剣先が……上のままだと!?
アレは柄か!柄で殴るのか!?
対してリックは!?
『っしゃあ!!』
『何っ!?』
ガンッ!!と左手の甲で弾いただと!?
今のは素手パリィ!?
……ダクソかな?いや宇宙だからブラボか。フツーに難い事を!!
確かに武術には手の甲で受け流したり防いだりする技術はあるけど、大抵流して相手の態勢を崩したり、より内側に入るのに使う。
中国拳法と似てるリックの武術なら、流してそのまま左の肘を胸部にぶつける、いわゆる頂肘と言う技だが、あえてそれを弾く……。
何をする気だ?
『せい!』
態勢の崩れたおっさんの機体の頭部を右手で掴んだ!
『爆火!!』
リックが叫ぶと同時に掴んだ所が大爆発する。
今のは……術式?火炎術式か!
『
リックの奴……あたいが少し教えただけなのに、もう自分の技にしてやがる。
パリィもこの為か。
受け流し懐に滑り込むいつもの戦い方だと、宣言通り頭部を掴めないから弾いて態勢を崩し、無防備になった所を掴んだんだな。
コレ、今は宇宙だけど地上だったら打・投・極全て自在に打ち込めるな……。
右手に武器持ってたら刺・斬・殴も入れれるし銃器ならいくらでも叩き込める。
すっご!
リックの機体が純粋な近接用じゃ無いからアレですんでるが、格闘戦に特化した機体だったらもっと強いんじゃね?
こりゃニーズヘッグケーニッヒの改良とアトゥア用にフレスベルクの調整を視野に入れないとダメかなぁ……。
で……爆発の中からおっさんの機体がグラつきながら出てきた。
『……どうやら僕の負けかな』
『いや、我が秘伝を弾かれた段階で我の負けよ』
おっさんの機体……頭部は兜になってるドラゴン部分が半分吹っ飛んじゃいるが、モノアイ自体は死んじゃいない。
リックの宣言、失敗か。
おっさんも頭部ユニットを狙ったのに技その物を弾かれたから失敗。
「引き分けみてーだな」
『ですね』
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補足
爆火掌
この技はリックがケイトからDMCの特性である自我の獲得と、電気信号による神経伝達とナノマシンによる術式の発動をMA用に拡張するサポートを聞き、即座に取り入れたリックによって編み出された技の1つである。
元々は火炎術式の1つ、中級火炎術式「爆火」であるが、初級術式「着火」の威力向上版であり、基本中の基本である。
術の特性として発生速度・瞬間火力の高さは同じ火炎術式の中でも他の追従を許さない。
欠点は射程距離の短さと範囲の狭さ。
着火自体もそうなのだが、手の平に一瞬だけ火を出すだけの術式なので、主な用途は焚き火に火をつける程度であり、術式使いの大半は後方からの支援が役割なので、故に使い手はほぼ居らず、着火・爆火共に忘れ去られている術式である。
術式をあまり使わない(得意ではない)リックは基本の着火を入隊時に習得しており、他の術式を使わず着火のみを伸ばし中級へと至った。
しかし、爆火しか覚えておらず、尚且つMA戦が中心となる中でそれ以上伸ばす必要性が無くなり、上級習得を目指しはしていなかった。
※リックはGガンを観てない(ケイトが観せてない)為、偶然の一致なのだ!!
用は使い方なのだ!!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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