Ⅲ
「ん? まぁ、クラスメイトだよ。クラスメイト……」
俺はそう答える。嘘は言っていない。
「へぇー」
栞はジト目で俺の方を見る。どうみても、これは疑っているようだ。
俺は栞の事は気にせず、葵の向かい側の席に座る。
そして、栞は俺が何も言わずも、冷蔵庫から麦茶を取り出し、三人分のコップに注ぎ、それぞれの前に出す。
「ありがとうございます」
「いえいえ、これくらい当然ですよ」
と、葵に礼を言われる栞は、自慢げに言う。その後、俺の隣に座る。
「えーっと……」
葵はそれを見て、困った様子を見せる。無理もない。栞とは初対面だからな。
「こいつは妹の栞。おい、なんでお前が俺の隣に座るんだよ……」
「初めまして、妹の栞です。だって、面白そうだから」
挨拶を終えた栞はそう言ったのだ。こういう返答が来るとは思っていたよ。さすが俺の妹。
「すまんな。わがままな妹で……。嫌だったら、俺の部屋でもいいんだぞ」
「誰がわがままよ!」
「お前が、だよ」
ムキ―、と対抗する栞の攻撃を軽く受け止める俺。
すると、葵はその様子を見て、微笑んで言った。
「ふふふ……。仲がいいんですね」
「そう見えるか?」
「はい。だって、あなたのそういう姿、あまり見せないじゃないですか。それだけ、妹さんを可愛がっているんですよね」
葵に言われると否定はできないが、可愛がっていると言えば、半々だと思う。
「可愛がってるね。こいつが妹じゃなかったら、分からなかったぞ。色々と面倒だし」
「それ、お兄ちゃんが言う? 面倒の比率ならお兄ちゃんの方が絶対に上だけど……」
やはり栞の態度は、俺に対して、対抗意識を燃やしているようだ。
「それで、葵さんはお兄ちゃんとどういう関係なんですか?」
栞は、ニコニコと葵の方を向いてぶっちゃける。
「か、関係ですか? そ、そうですね……。クラスメイト……。友達……。彼女……。陣君、何といえばいいでしょうか?」
それを俺に聞くなよ……。
「彼女?」
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