自他ともに認めるミステリー好きな高校生、東野健介は、唯一の友人である相原浩の机に入っていたラブレター、その差出人への断りの返事を代行することを引き受けた。が、その実手紙はラブレターならず、健介はふとしたことから知り合った本好きな下級生女子、梶本——自称レモン——と共に真相を追うこととなるのだった。
ラブレターがラブレターじゃないならなんなのか? このシンプルなお話の裏側にある複雑な真相を、健介くんとレモンさんは紐解いていきます。その、読者を飽きさせない多彩なアプローチも魅力なのですが……すべてに推理や行動理由がしっかり積まれていているからこその「納得」があるのですね。だからこそ、読者は安心して次の謎へ向かえるわけです。
探偵ふたりの関係性も良き! 斬り込み役のレモンさんと、思索型の健介くん。互いがきちんと補い合って、コミカルな会話劇から緊張感ある推理まで、メリハリの利いた掛け合いを見せてくれて。まさに名コンビですね。
芯の太い推理とキャラが両立する日常の謎、ずいとお勧めします。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)