第22話 黄鱗きいろ

 バキッ。


 …………びっくりして咄嗟に殴ってしまいました。

 等々等期さんは再びひっくり返り、ぴくりとも動かなくなります。

 え? 確かに死んでましたよねこの人? 何?

「ご、ご主人たまぁーーーー……!」

 背後から押し殺すような声が聞こえてきて振り向きます。

 唖然とした表情の三人しかいませんでした。

 ……なんですか今の小動物系マスコットみたいな声は。ちょっと可愛かったですね。

 まあそれはともかく。

「この通り彼はちゃんと生きていますし、推理を続けましょうか」

 脈はなく瞳孔も開いていますが、きっとそういう体質の方なのでしょう。いやー変わった体質の人もいるものですねえ。

 等々等期さんを適当に引きずって脇に寄せると、私は三人と向き合いました。

「単刀直入に言いましょう。やはり、犯人はこの中にいます」

「は、犯人がわかったんですか!?」

 魚囃子さんが大声で身を乗り出してきました。私は神妙に首を横に振りました。

「いいえ。まだ誰が殺し、誰がバラバラに置いたのかはわかりません。ですが、順々に話しているうちに改めてわかってきたことがあるんです」

「わかってきたこと?」

「そもそもです。私たちはオーナーの首が見つかった時、警察に通報しませんでした」

 なあなあで流してしまって今更なのですが、普通におかしいでしょう、この状況。

「それは……外が嵐なんだから仕方ないだろう」

「いいえ。外に出なくてもいくらでもやりようがあります」

 今は現代。文明社会のまっただ中ですよ。どれだけ田舎だとしても方法はあるものです。

「私はモキョ先生が謎を解きたがったので警察への通報は控えていましたが……あなた方は違いますよね?」

 ずいっと詰め寄ってやると、三人は露骨に目をそらしました。

「あなた方は一度も外とコンタクトを取ろうとは言い出さなかった」

 返事はありません。全員、黙りこくっています。つまりはそういうことなのです。

 私は三人を見回し、重々しく言いました。

「邪気さん、喪符松さん、魚囃子さん。あなた方は、全員がなんらかの形の犯人です」

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