<秘密> 4

帰りの挨拶が終わると、

茜は

ピアノのレッスンがあるからと先に帰っていき、

翔太と洋は

洋の家でテレビゲームをやるらしく、

二人揃って教室を出ていった。

俺は子供達が教室から出ていくのを

机に座って見送った。

奥川は数人の女の子達と一緒に、

相馬はいつものように一人で教室から出ていった。


教室には俺一人だけが残された。

しばらくして俺はベランダに出た。

下校していく子供達の姿を眺めながら、

隣の教室へ歩いた。

六年二組の教室にも

生徒は一人も残っていなかった。

そのままベランダを六年一組の教室まで進んだ。

六年一組の教室にも誰もいなかった。

俺は無人の教室に入った。


そして俺は一色の机の前に立った。

一通り机を調べてみたが、

何も見つけることはできなかった。

ただ、

鍵のかかった一番上の引き出しだけは

中に何が入っているのかわからなかった。


俺はポケットから封筒を出して

それを机の上に置いた。


それからすぐに教室を出た。

出る時に周囲を警戒したが、誰もいなかった。


少なくとも明日になれば一色はあれを目にする。

中に入っている手紙を読んで、

一色は何を思うのか。

そしてどういう行動に出るか。

明日になればわかる。

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