<秘密> 2

放課後、俺達探偵団は揃って教室を出た。

今日はこの後

「Twilight Avenue 城之三崎」

に行くことになっていた。


六年一組の教室の前を通りかかったところで、

俺達は教室から出てきた一色拓海と鉢合わせた。


一色は俺達を見ると、

「おっ!鈴木と塚本じゃないか。

 お前ら元気にやってるか!」

と二人に声をかけた。

「一応、元気だぜ」

「はい。先生こそお元気そうで」

「はっはっは。そうかそうか。

 じゃあな!

 悪いことはせず真っ直ぐ家に帰れよ!」

背を向けて歩き出した一色が

頭上でヒラヒラを片手を振った。

その仕草はまるで

トレンディードラマに出てくる俳優のようだった。


「ヒーロー先生ってちょっと変わってるよね。

 僕は嫌いじゃないけど」

「変わってるんじゃなくて、

 カッコつけてるだけだぜ。

 ま、悪い奴じゃないけどな」

「素敵だわ、拓海先生」

三人は思い思いのことを口にしていたが、

それでも皆、

一色に対しては

概ね良い印象を持っていることはわかった。

それよりも俺は一つ気になったことがあった。

「なあ、

 何で一色はお前達二人に声をかけたんだ?」

「何でって、

 そりゃヒーローは

 俺達の三、四年の時の担任だったからな」

「ナカマイ先生も良いけど、

 やっぱり拓海先生は特別だわ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る