Case.1 探偵なのに盗むんだゆ ⑪
「パワーが回復したゆ!」
白玉おしるこを完食したやま田は、いつも以上に肌がつやつやな気がする。
一方の俺は、げっそりだ。
モリブデン多め濃いめ硬めは、普通の白玉生成に比べ、より体力を持っていかれるのだ。
「良成様、どうぞ」
「ヨーグルさん……、ありがとうございます」
再び手渡された紙コップから、ふわりと芳醇なアロマが立ち上がる。
真っ黒の水面が広がるこれは、まごうことなきブラックコーヒーである。
どういうわけか、白玉生成による
「ああー……生き返る」
目を閉じ、
今が夜遅くのせいか、眠気もふわりとまぶたに落ちてくる。
このまま寝てしまったら、どうなるだろう。
きっと、実は全て夢でしたオチで、鳥たちのさえずりが耳元に響くいい感じの朝を迎え、家族四人が
「さっさと行くゆ」
「ちょ、力強いな?! 白玉食ったせいか! 痛い離せ自分で歩けるわい!」
人の夢と書いて
願いは即座に立ち消え、俺はワイシャツの
「……なんだ、これ」
次の部屋は先程の細長い部屋とは違い、正方形のそれなりに大きな空間だ。
だが、その空間はあまりに無駄であった。
なぜなら、中央に立方体の氷のキューブがどん、と置かれているだけなのだから。
……いや、待てよ。
俺は記憶を
この縦横高さ1メートルはある氷の塊、知っている。
アレはそうだ、さっきもヨーグルとの会話で出てきた、昨日の――。
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