Case.1 探偵なのに盗むんだゆ ⑥
そうこうするうちに
その先に広がるのは幅がさほど変わらない、妙に長細い造りの部屋だった。
ぴた、と停止した二人を見ていなかった俺は、そのまま一歩を
「止まるゆ」
やま田に
「うおおおお?!」
硬い床に背中をぶつけ、一瞬呼吸が出来なくなる。
「っ、何すんだ!」
「ここは、危険ゆ」
大クレームを入れようとした俺だが、その目を見て急に冷静になる。
やけに澄んだ目をしている時のやま田は、大真面目なのだ。
ヨーグルが前の空間に向けて、大容量缶のスプレーを吹きかける、と。
「これは……」
妙に
「ふむ。これに触れると、警報が鳴るか、何かトラップが出てくるか、もしレーザーであれば普通に切断もあり得ますな」
「ひえ……」
「ヨシナリ、ボクに感謝するゆ」
「あ、ああ、ありがとうやま田」
こいつにお礼を言うのは、妙にくすぐったい気持ちになる。
やま田はそんな俺の気持ちを知らず、ヨーグルの背負っていた小さいリュックを下ろさせると、中からあるものを取り出した。
それは、どう見ても。
「あの
というか相変わらずこのリュック、サイズに対して出てくるものの大きさが間違っている。
いつぞやはロケットランチャーとかバイクを取り出していたし。
やま田はそれを左手に持つと、すう、と一呼吸置き、
勢いよく、前へと飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます