第16話 R6.5/9(木)


 会議の日で、社員達は出ることが多かった。


 しっかし、新人研修の準備が追い付いておらずてんやわんや。相変わらずバタバタとすることになった。段取り、先読み大事と今思っても先週木曜のことはどうにもならないけれど、先読みと準備が大事。


 本当に。


 他の時間は昨日分で書いた、PC処理に追われていた。それと、先読み出来ずにやってきた諸々。修正は今週からである。許せ。


 しかし、事務処理で分かっていないことが多い。紙媒体の審査など、知らなかった。書類とメモは残したので、以降忘れないようにするしかない。忘れても、メモした場所は忘れないように。

 どこかで時間を取って、まとめなければ。土曜出勤も気は進まないが、一度やってまとめた方が良いかもしれぬ。


 前日の会議資料で、荒く作ったところは指摘はされなかったけれど、バレる人にはモロバレであった。データの保存が上手くいっていなかった。また使用する可能性が少しでもあるならば、持っておいた方がいいねぇ。頻度が少なければ、クラウドだっていいわけだし。


 閑話休題。


 段取りについては、屈辱的なこともあった。ただ、活用すべきだとも自覚した。使っていなければ忘れるが、前場所ではやっていたことなのだ。それをやらなくなって成り立たなくなっているのならば、やらねば。

 工夫出来るということは、能力の大きな大きな一部なのだ。


 K.U.F.U.


 俺は、向いてないと周りに言われた営業だって、K.U.F.U.で乗り切ってきたんじゃないか。


‘’俺にも出来ると思って始めた。あいつよりマシだと思って始めた。始めてしばらくは天狗だった。しばらく経ってから面食らった。

 甘くないぞこのライムってのは。軽くないぞこのマイクってのは。

 通らないのか俺のこの声は。実らないのか俺のこの恋は。

 そうか。俺は天才じゃないんだ。逆に、俺にゃ限界はないんだ。


 声が無いならリズムで勝負。リズムが無いならイズムで勝負。

 早口オフビートすべて試した。結果ならなかった誰かの手下。

 今から思えばダサくて良かった。あのダサいヤツが最後に勝った‘’


 個人営業で結果を出して、この曲を聴き直して泣いた。

 ナメられていた俺がK.U.F.U.のお陰で成績等々で一位になり、俺をナメていた奴らは悔しがって陰口を叩き続けた。そんな状況で聴くこの曲は、絶頂の気持ちよさをくれた。


 ただ、今は忘れようじゃないか。


 管理職になって、現在は実力不足の今なのだ。


 忘れて、ナメられて、フツーに言うと工夫というアレコレを試し、成長し、結果を出す。それまで、甘美な圧勝の思い出は忘れよう。管理職として営業所長の仕事をしている者として、一から出直したのだという気持ちがなくては。


 甘美な思い出に浸るのはヤメだ。また、苦渋を噛もう。そこから始めるのだ。


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