第5話

「何をしていたの?」

 

 僕は自身が転がした陽向の方へと視線を送り、尋ねる。


「……」

 

 陽向は呆然とペラペラの人影が居た方向を見て口をパクパクさせて固まっていた。

 

「……どうしたの?」

 

 僕はそんな陽向の前で手を振り、さっさと現実世界に意識が戻ってくるようにその頬をペチペチと叩く。


「ハッ!?」

  

 それでようやく視線が僕の方へと戻ってくる。


「なにあれ!?……なんなの!?あの怪物は!?」

 

 陽向は理解できないと言わんばかりに叫び、僕の方へと唾を飛ばしてくる。


「むにゅ?……うーん。僕と似たような存在、かな?」


「……」

 

 僕の返答を聞いて陽向は理解出来ないと言わんばかりに呆然と口を開く。


「……亜蓮と、同類……?」

 

 理解出来ないと言わんばかりに陽向は口を開く。


「うん。……ちょっと違うけど。まぁ、そうかな」

 

 僕は陽向の言葉に頷く。

 ちょっと違うけど、そうであると言っても良いだろう。

 多分あのペラペラの人影は星の意思そのものだろう。そして、僕は星の意思と繋がったただの人間。

 でも、似たようなものだろう。うん。

 

「ふわぁ……」

 

 僕はあくびを浮かべ、呆然としている陽向を見る。


「む、無理じゃない……不可能じゃない」

 

 ブツブツと呟き続ける陽向。


「……むにゅ」

 

 陽向は何も言わず、僕のことを無視してくる。


「もう良いや」


 陽向から興味を失い、僕は陽向を残して家は帰る。

 大地を蹴り、天空を駆け抜ける。雷のように。 

 ……。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


 僕は叫ぶ。なんかあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ。


「ふーふーふー」

 

 僕は叫び、息を切らして家の方へと向かった。

 

「あ、家。壊れているじゃん」

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