第4話

「やっほー」

 

 僕は陽向と……佐倉がいるこの場に舞い降りる。

 

「亜蓮ッ!!!」


「ひぃ!?」

 

 暗天の力を開放している僕を見て陽向は歓声を上げ、佐倉は悲鳴を上げる。

 うんうん。

 僕は佐倉の反応を見て頷く。

 こうだよ。僕を前にした人間がとるべき行動はこれなんだよ。……僕と共闘している陽向とアルファがおかしいんだけど。

 まぁ、別にどうでも良いけど。

 ……。

 ?なんか一瞬むにゅむにゅしたような……?


「来てくれんだねッ!!!」

 

 陽向はそのまま僕へと抱きついてくる。


「邪魔だよ」

 

 僕はそんな陽向を引き剥がして転がす。


「え?……え?」


 僕の手によって転がされ、数々の砂利を口に含んだ陽向は汚い口をぽっかりと開ける。


「なんか来る」

 

 僕は困惑している陽向の方へと視線を向けて一言告げた後、視線を前へと戻す。

 目の前にいる人たち。陽向と佐倉を追いかけて追い詰めていた黒い男たち。

 いや……多分違う。


「なんだろ?」

 

 僕の直感が何か来ると告げていた。

 この星の、以前一緒になったこの星の直感が挨拶したら?って話かけてくる。

 

「うん」

 

 だから、挨拶をすることにしよう。


「コプッ」


「ゴホッ!?」


「オェ─────ッ」

 

 変わる。

 この場の雰囲気が。

 陽向たちを追い詰めていた黒い人たちの口から……またもや黒いものを吐き出して、一つになっていく。

 黒ばっか。黒が好きなのかな?


「……」

 

 その黒は一つの影となって蠢き……ただの人影となって二次元的に、ペラペラした薄っぺらい存在として立つ。


「こんにちわ」

 

 僕はこの星の直感どおりに笑顔を浮かべて


「……」

 

 ペラペラの黒い人影から無言のまま振るわれる黒い『何か』。 

 なんかわかんないそれは、僕の力で止めておく。別に当たっても問題ないと思うけど、かっこ悪いし。

 僕の体から漏れる深淵の、黒い……どこまでも黒く深い力が


「むにゅにゅ」

 

 何かを取り込んだ僕は首を傾げる。本当に『何か』が何かわからなかったのだ。


「ふむ」

 

 そして、理解する目の前にいる存在が何者であるかを。


「別の星に会うのは初めて……むにゅ。でも、既に死にかけ……星と呼ばれるのかな?」

 

 長きときを生きた星は意思を持つ。

 たとえ大地が滅びようとも、その意思だけは残る。地球もそう。僕の中にいる星もそう。多分他の星もそう。

 でも、星も死ぬ。死にかけになる。原因は知らないし、興味もない。

 ただ一つわかるのは目の前にいる名も知らない星の意思が死にかけだと言うこと。多分。


「忌々しい……」


 名も知らぬ死にかけの星の意思は一言だけ残し、この場から消えていく、

 そこには何も残らない。 

 さっきまでそこで倒れていた黒い人たちも。


「挨拶出来た!よし!」

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