第2話

「……?……?……?」

 

 本当に意味がわからない。

 お兄、ちゃん?


 僕に血を分けた兄弟、姉妹はいないはずなんだけど……?

 それに、もし居たとしても僕のことをはずなんだけど?本当にどういうこと?

 僕をお兄ちゃんと呼ぶ幼女が現れる可能性なんて0だと思うんだけど。


「……どうしたの?お兄ちゃん」

 

 幼女は僕のことを曇りなき瞳で見つめてくる。


「とりあえず入ってよ」

 

「うん!」

 

 僕は幼女を貧相な自分の家へと上げる。

 

「お邪魔します!」


「ん」

 

 椅子なんて高級品は課金のために売っぱらったので無い。

 幼女は地べたに座ってもらうしかない。


「それで?僕がお兄ちゃん?君のような妹を持った覚えはないんだけど?」


「……え?」

 

 僕の言葉を聞いた幼女はただただ首をこてんとかしげる。

 

「君にような妹を持った覚えはないのだけど?」


「……え?」


「……」


「……」


「……君のお母さんとお父さんは誰?」


「……え?」


「……」


「……」


「えっと、君に家族はいるのかな?」


「……え?」

 

 僕が聞きたい色々な質問はすべてただただこてんと首をかしげられるだけで、何も答えてくれない。


「君は、僕の妹?」


「うん!そうなの!」


「でも僕は君のような妹を持った覚えはないよ?」


「……え?」

 

 僕の言葉を聞いた幼女はただただ首をこてんとかしげる。


「んー。どうしよう……。あ、そうだった。まだ名前聞いてなかったね。君の名前は?」


「有本佐倉!私は有本佐倉って言うの!」


「は?」

 

 僕は幼女……有本佐倉と名乗る幼女の言葉を聞いて固まる。


「佐倉って呼んでね!お兄ちゃん!」


「……」

 

 チョットナニヲイッテイルノカワカラナイ。

 

 有本佐倉?なんでよくわからない人に乗っ取られていた有本さんが出てくるの?

 あの日、一体何が起きていたのかまるで理解できなかったんだよね。

 なんか有本さんが巨人になって、そのまま僕が消し飛ばしちゃったので、有本さんの姿はなくなっちゃったんだよね。

 

 んー。どうしようかなぁ。

 とりあえず陽向に聞いてみよ。そうするのが一番良いかな。

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