第164.5話・プチっと脇道

「ぶえっぷし!」

「マスターさん、また噂ですか?」


 プチがにこやかにウチの顔を覗き込んで来た。以前は『風邪ですか?』って聞いてきたのに、コミュニケーションの取り方がアップデートされた様だ。


「そうね、きっとティラちゃん達が『亜紀さんて知的で美人やわ~。とてもかなわんどすなあ』とか言ってんだよ」

「アホか、脳味噌に虫湧いてんじゃね?」


 間髪入れずに悪態をつく初代はつしろ新生ねお。……言うくらい良いじゃないか、誰も言ってくれないんだしさ。


新生ねおたん酷いよ」

「その呼び方やめろ!」


 手に持った剣鉈をウチに向けて、いつもの反応を見せる。こちらはアップデートされていないな。


「こらこら、剣鉈それは人を物じゃありません!」

「ああ、刺す以外にも斬れるしな」


 ……そういう意味じゃないっての、JK。


「ところで八白さん」

「なんだい? アンジーさんや」

「ポケットの中光ってない?」

「お?」


 いつの間にかポケット中からジュラたまの光が漏れていた。今は恐竜人ライズ達はここにいるから、どう考えてもティラノの闘気オーラに反応した発光だ。ポケットから白いジュラたまを取り出すと、その光は揺らぎながらジワジワと強くなっていった。


「なんかこれ、ジュラたまブーストした方が良さそうな気がするんだけど……」

「そのようね」


 そう言ってアンジーも自身のポケットから、鈍く光り始めているジュラたまを取り出した。


「アクロのジュラたまも光っているからさ。なにかヤバそうな予感がするよ」


 ウチとアンジーはお互いの視線で意思を確認し合うと、同時にジュラたまを指にはめた。いつものことだけど、す~っと体力が抜けていく感じがする。とりあえずこれで、ティラノとアクロの能力が底上げされるから、並大抵の相手なら問題ないと思うんだけど。


 しかし、ティラノ達のいる北の火山では、このジュラたまブーストが……とんでもない事態を引き起こしていた。






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