1 1/4信3/4疑
◆
――いやあ、なんとも。
「間が悪い」
降ってきた人影はきっぱりとそう言い切った。
そのまま、懐中電灯を持ち上げて行けば――
「あっ、ちょ、
めちゃくちゃ
こんな廃墟で五点接地法をしたぐらいなので、多少
そのスレンダーな胸元で、銀のスティックタイプのホイッスルが懐中電灯を反射して揺れている。
「
「す、すんません」
巻き込まれて一緒にへたり込んでいた
「あ、一応、我々は持ち主から依頼を受けてるので、不法侵入ではありません。悪しからず……
困るなあ、と彼女は
「で、ですよねー」
「わかってるなら何故来るんです?」
持ち主からしたら
「あの、えと、もう、一組、先に入った人達がいて……ええっと、私達、大学の同じサークル仲間で……」
「……なるほど、
どもりながら
「まあ、いいです。いるならいるで仕方ない。先生だってきっとそう言うはず……うんきっとたぶん」
そう言って一つ
「まあ、ここがどういう場所かご存知で、我々は持ち主から依頼を受けた者と言いましたから、ある程度はお察しでしょうが……わたしは
「ええっと、
「……
ふむふむ、と
「ま、とりあえず、わたしから離れないようにしてください」
「あの、
流石にいきなり二階から五点接地法なんて、常人にできるはずはない。
まして、ここは廃墟で割れたガラスとかもあるのに。
さっき、というキーワードがそれに紐付かなかったらしく、きょときょとと
「ああ、しないです、しないです。わたしがおとりにならない限り」
その言葉は完全に、何かがいる事を示していた。
ちらりと
いや、というか、そもそもの趣味で廃墟でいきなり五点接地法をする自称霊能力者に出会うなんて、
つまり、さっきの五点接地法も――
「あの、さっき、なんで、二階から……」
「あー、ちょっとおとりしてまして……」
でも、大丈夫です。
そんな風にけろりとして言う
そうとも知らず、当の
なんなんだ今度は、と
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