3 肝試しと大掃除
side A
序 空から人影
なんて事はない。
なんて事はなかったはずなのだ。
だって、皆がやってる事。肝試しなんて。
――そりゃあ、若干法に触れる時もあるけれど。
かつん、と
それだけで、心臓は瞬間的に大きく
それを繰り返してじりじりと進みながら、
とはいえ、
「どこ行ったんだよ、あいつら……」
ぼそりと
「ああ、
「う、ううん。
少しばかり
なんで、と問われても、自分でもよくわからない。恋情かと言われても、そこまでではない。たぶん、きっと。
だから下心というものは一切、全くと言っていいほど、ない。たぶん。
そして、そんな相手に
話のネタはあまりない。
「うーん、話のネタが、なあ」
「……そう、だよね。ごめんね」
そんなビビりの二人がこうして廃病院なんかを歩いているのは、所属するサークルメンバーのせいである。
「
「……
肝試ししよう、と言い出した
そして、じゃあ一年の怖いもの知らずコンビとビビりコンビで行って来いよ、とかいう無茶ぶり。
そして怖いもの知らずコンビは当初の予定十分前に、先に入る、後から予定通りに来い、という
「かもしれねえ……あいつら、マジでどこ行ったんだ」
今時の大学生のノリ、わからん、などと入って一年目の
友達に誘われて入ったテニスサークルがこんな俗っぽいものだとは思わなかった。全国の
なお、今回の廃墟侵入系肝試しが完全に法に触れるやつ、という事も
なんなら
とはいえ、本格的に弁護士だのなんだのを目指してるわけではなく、単に法律に興味があって、将来ちょっとばかり物事がイージーになるのでは、程度のライトな考えで入ったぐらいである。
一方の
怖いもの知らずコンビこと、
「こっち、か……」
「みたい、だね」
二人の足跡はその
そこへ足を踏み入れようとした瞬間、それは正に虫の知らせ以外に説明がつかないのだが、
次の瞬間、
「きゃああああああ!」
「…………」
一方、
「あや?」
華麗に五点接地法をきめて立ち上がった人影が、
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