13 全てよしではないかもしれない
◆
「ただいまもどりましたー」
「ただいま」
口々に帰宅を告げれば、奥から飛び出してきたのは
「あああ、お帰りなさいー……ひ、
それだけで、
なので、靴をとっとと脱ぎ捨てると、そのまま
『だからな、
「父さん?」
そう言えば、向こう側の
『おお、
「なんで、先生を問い詰めてるの? 自分の事を棚に上げてまったく」
「うわあ……理不尽……いっ!」
ぼそりと背後で
まず、誰のせいだ、という話である。
『いや、だって、お前、神隠しのって』
「わたしが志願したの! それに一人だけってわけじゃなかったし」
『うん? さっき電話に出たのは最近加わったとかいう女の子だったから、あのひょろい坊主と?』
「ひょろいけど紳士だよ! 父さんやお兄ちゃんよりもずっとデリカシーはあるよ!」
『な……』
何度かその事実を叩きつけているはずなのだが、父も兄も毎度のようにショックを受け続けている。
「というわけで、これ以上何かある? わたしはこうして五体満足だよ?」
『ぐう……』
「……心配なのはわかるし、どうやっても危険な橋を渡ることがあるのは、父さんもお兄ちゃんもわかってるからだっていうのは知ってる。でも、わたしはわたしの意思でここにいるし、だからこそわたしでいられるの。お兄ちゃんにも言っといてね」
しかし、向こう側からは沈黙しか帰ってこない。
「もしもし? 父さん? 聞こえてる?」
『……そうか、
「そういうとこがデリカシーないっつってんだよ!」
思わず、すごい剣幕で
後ろからの
しかし、
いや、そりゃあ、
初めてロビンを見た時には、精神的に弱ってたのもあって、やたら目つきが悪い王子様っぽい人ぐらいには思った。
当時中学生の乙女の
まあ、当時だ、当時。
そんな風に内心開き直っていると、
『……う、うん、
「……わかればよろしい」
もうこんな話題は早々に切り上げるに限る。
「で、わたしが無事ってわかって、これ以上何かある? ないよね?」
『……はい』
「それじゃ、また連絡するから、お兄ちゃんにも言っといて」
『うん、気をつけるんだぞ』
「わかってますー。じゃあね」
またな、と父親の声を最後に電話が切れる。
ふう、と一息ついて振り向けば、涙目で足の
「
「そもそもが身から出た
「ぐぐ……反論できない……」
「というか、反論されたらボクらとしては困るよ、センセイ」
「それは、そのう……ごめーんね?」
「……」
「……」
やたらと軽い謝罪に
次の瞬間、ロビンが
「ぐえっ」
「……ちょっとセンセイには
「そうですね、まーた
ロビンに引き
「いいんですかー……?」
「いいんですよ、ちょっとお
現在、唯一の通いの弟子である
「まあ、そういうことなら……仕方ないですね」
「ええ、そういうことです」
それならお
そして靴を
「それでは
「ええ、また明日」
「さあて」
それから、
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