12 思考ほど速きもの
「えー、だってイクシーオーン、義父を
「何があれって、否定できないから困る……」
「しかも、ルーツの違うケイローンを
否定できないので、どうしよう、と考えている気配がロビンからだだ漏れしている。
「まあ……うん、間違ってはない、うん」
「で、イクシーオーン本人はぐるぐるぶん回されてるんですっけ、車輪で」
「そう、燃える車輪に
「……まあ、いいや。人は死すべきものであり、神は不死なるものにして絶対で、人は常に神を
「逆?」
「人は不死になるべきではないのに、不死になったというならば、それは罰を受けるべきだ、という順序の逆。先に不死を
ヒロの力の根幹にも言える事でしょ、とロビンは肩を
「ソレがいるから栄えたのではなく、栄えたからソレがいるとされた。
「…………」
「そうして他者に押しつけられるからこそ、容易に制御が
で、とロビンはそのままいつもの調子で続ける。
「次は北欧の、トールのヤギだっけ? 巨人の国、ウートガルズをロキと訪問した時の行きがけの話だろ?」
「そ、そうです」
巨人の国ウートガルズを訪問する道中、雷神にして戦神たるトールと、悪名高きトリックスターであるロキは人間の家に一拍する。
その時、トールは自身の戦車を引く二頭のヤギ、タングスニョーストとタングスリスニを食材として提供するが、この時骨はそのまま、その毛皮の上に投げるように言う。
「そうだねえ……人界で神のヤギを人に提供し、人がこれを調理するわけだけど、まあ、あのヤギの特殊性はその毛皮と骨によるからなあ」
「毛皮と骨さえ無事なら元通り……をぶち壊してますし、あの話」
そういう条件だったにもかかわらず、
翌朝、トールによって生き返ったタングスニョーストとタングスリスニだが、シャールヴィが
平謝りの家主は犯人のシャールヴィとその妹レスクヴァをトールに差し出し、以降二人はトールの
「シャールヴィに対しては適用される、と考えてもいいんじゃないかな。
まあ、本題ではないけど、とロビンは切り捨てる。
「ただ、レスクヴァはそもそもその後の話にも特に出て来ないから、重要性は低い。だから、レスクヴァという存在は、あくまで神の命に
お兄ちゃんの罪の埋め合わせとかレスクヴァちゃん可哀想、と
が、シャールヴィのそのウートガルズでの
「……シャールヴィのその頑張りもウートガルザ・ロキのチート行為のせいで徒労なんですよねえ」
そう
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