5 福を饗す
リュックからメモ帳とペンを取り出して、涙目の
決して、
「
「で、さっきの同じ釜の飯を食った仲に
ロビンの補足に
「え、でもさ、さっきの話だと、食べちゃいけないんだろ?」
「そこは、
「そう、人間が育てた作物を人間が調理し、神に
――このイギリス人、やたら難しい言葉使う。
そう思いながら、
逆転しているのならば、である。
「……じゃあ、神様を
「ボクらのスタンスとしては正解に近いけど、一般的には怒られる可能性のある答えだね」
それを見て、ロビンはくすりと笑う。
「そもそも、
「共同体の中の食物を神と分け合うという点では、秋田のナマハゲや高知の
わからないはわからないなりに、ふんふんと聞いていたが、
「日本だけなの?」
今や、グローバルがスタンダードな世界である。
「ボクが明確に儀式の流れとして残ってるって把握してるのは日本。まあ中国とか東南アジアとかアフリカとかにもあっておかしくはない。実際、
もてなすかどうかはさておいて、とロビンは続ける。
「だけどまあ、意識としては昔話にこそ多く残ってるかな。旅人が一晩の宿を最初は土地の金持ちに頼むが断られ、その後その土地でも特別貧しい者に宿を頼むと、貧しい者は貧しいなりの精一杯の
「なんか、すっげーどっかで聞いた話って感じはする」
学校の月一回の図書館ボランティアによるおはなし会とか、幼稚園の頃に先生が読んでくれたたくさんの絵本とか、その中に
「
「……まあ、
ロビンが横目で
どうやら、説明全般はロビンの方が得意なようだ。
泥沼になりそうなので、
小学生男児としては難しくて長い話は嫌いだ。
「そういえばロビン、そのコンテクストの場合、ギリシャのタンタロスやイクシーオーン、あと北欧のトールのヤギってどういうことになるんですかね」
「それは後ね」
すっぱりとロビンは
もやしで、目つきの割に押しに弱そうでも、決めるところは決めるタイプらしい。
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