第198話 ハイダック07

 ガストンはオルネラに続けて尋ねる。

「お前はどうやら私に似ているようだ。私もこの力を手に入れるまでは、オルドゥアス教に触れるまではお前と同じように考えていた」

「は、はあ。そう言われましても違う考えがあることも知りませんしわかりません。ガストン様、私にも何かを変えられる力が手に入るのでしょうか?」

 オルネラは真剣な目つきでガストンに尋ねる。ガストンはゆっくりと頷き、その力をお前にも授けると言った。そして、蜘蛛の人形を決して離さず身につけておくようにと言われた。


 オルネラは、ガストンから預かった黒いローブを被り、結界用魔導具、像を預かると屋敷に戻り言われたとおりに動いた。屋敷の外を歩くのでメイドだとバレないようにフードを深く被りできるだけ素早く人に見られないように気をつけて、まずはローブを被ったまま屋敷の周りを歩き結界用魔導具の瓶から粉を屋敷の四隅にふりかける。そして預かった像をお嬢様にお見せしたあと屋根裏に置き夜が来るのを待った。

 その日は侍女のアンジーを早く下がらせオルネラと寝室でガストンが現れるのを待っていた。すると結界用の魔導具がうっすらと光を放ち始めた。オルネラが外を見ると同じように屋敷の隅がぼんやりと光を放っているように見えた。そこにフード姿の人影が現れ屋敷に入ってくるのが見えた。


「お嬢様! ガストン様が来られたようです!」

 思わず声を上げてしまった。

「オルネラ、静かに! アンジーに気づかれてしまうわ。もう少しよ、静かに待ちましょう」

 お嬢様も興奮している様子だったが二人で手をつなぎベッドに座ってガストンか現れるのを待った。

 結界のおかげなのか警備のものにも気づかれずガストンは部屋にやってきた。


「そなたが私達の話を聞きたい者か?」

 ガストンが尋ねると


「はい、そのとおりです。私にオルドゥアスの教義を、この世界を偽から解き放ち真の世界を取り戻さなくてはなりません」

 お嬢様は立ち上がりそう答えた。

 するとガストンはふむ、と一言言うと屋根裏の像の方を見て、あそこかと呟いた。そして右手を掲げると屋根裏の像がガストンに近づいて行き、ガストンがそれを手に取る。

 そしてお嬢様に向かい


「よく分かった。ではお主の大切なものを生贄に捧げよ、さすればその願いは叶えられよう」

 と言い放つ。

 お嬢様は困ったように何を生贄にすればよいのかわからないとガストンに言う。

 するとガストンは


「対価となるものは願いが大きければ大きいほど増すものだ。お前にはもうわかっているはずだ」

 と言う。


 その時、ガストンの目が怪しく赤く輝いたようにオルネラには見えた。

 そしてお嬢様がガストンに向かって歩き始める。

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