八百万の神様ありがとう！ 神から一つしかスキルを貰えない世界で、俺だけスキルが八百万個。どんどん増えるスキルを活用して、女神様たちに溺愛されながらスローライフ始めました。

第16話 スキルを得る為の行動？

「あれ？　トーマ。森へ行って魔物を倒すんじゃないの？」

「ん？　あぁ、だけどその前にやる事があってね」

　家に帰ると、森へ行く前に大きなフライパンに木屑を敷いて網を乗せたら、その上にイノシシの肉を乗せる。

　木屑に火魔法で火を点けたら、蓋をして……後は待つだけだ。

「あー、お姉ちゃんは分かっちゃったー！　トーマ君、燻製でしょー！」

「あぁその通り。正解だ」

「えぇー、なぎリンは料理に関する事は詳しいもん。そんなのズルいよー！　ねぇトーマ。もう一問、別の問題を出してー！」

　いや、コズエは何の話をしているんだよ。

　別にクイズを出そうと思ってやっている訳ではないからな？

　とりあえず、今朝注文したばかりの冷蔵庫がまだ届いていないので、さっき手に入れた肉を腐らせないように、燻製にしようと思っただけだ。

　燻製にしておけば、殺菌されて生肉より遥かに日持ちするからな。

　暫く火魔法の火力とフライパンに注視していると、俺の肩に座ったコズエが顔に寄りかかってくる。

「……トーマ。じっと火を見つめていて、楽しい？」

「あぁ、楽しいぞ。この火によって、鍋の中で何が起こっているのかを考えながら、火加減を見極めて……」

「私は暇だよーっ！　ねー、トーマ。何か楽しい事しようよー！」

「いや、俺はこれが楽しいんだが……例えば？」

「え？　そ、そうだね。うーん……あ、新しい神様探しとか」

「ん？　コズエには神様が見えているんじゃないのか？」

　俺には分からないが、コズエやナギリのように、この辺りには日本の神様が居るのだが、俺には見えないだけ……そういう認識だったのだが、違うのか？

「そうなんだけどー、そのプレッシャーというか、早くトーマとお話ししたがっているというか……」

　それは前にも聞いたけど、かといって何をすれば良いか分からないんだよな。コズエも、その辺りは教えてくれないというか、教えられないみたいだし。

　とりあえず、小杖、包丁と来たから……次は鍋とか？

　あ、鍋で思い出したけど、また小豆を採りにいかないとね。

　あの小豆は本当に美味しかった。

　自生している植物を探しに行くっていうのもアリだな。

　というか、両方すれば良いのか。魔物探しと植物探しを。

　ひとまず、いろんな道具を使うと良いかもしれないと、ひたすらキッチンを掃除している間に、燻製が出来た。

「おぉー、良い香りだ。……おぉっ！　しかも、旨いっ！　じゃあ、次々燻していくか」

「えぇーっ！？　まだやるのーっ！？　早く行こうよー！」

「いや、あの籠に入っている分、全部やるよ？」

「多いっ！　多いよーっ！」

　結局、コズエが暇だから構って欲しいだけだったようで、遊んであげながらも何とか燻製を終わらせる。

　これで一件落着だと思ったのだが、

「うぅ……コズエちゃん。トーマ君は甘えて来るって言いながら、コズエちゃんの方がトーマ君に甘えてるーっ！」

「あ……ほ、ほら、トーマ！　なぎリンに甘えてっ！　えっと、えっと、そうだ！　膝枕とかしてもらったら良いんじゃないかな？」

「いや、ナギリの身体と俺の頭が同じくらいの大きさだと思うんだが」

　今度はナギリが頬を膨らませる事に。

　だが、待てよ。コズエもナギリも、神様だ。

　その神様が、意味のない事をやらせるだろうか？

　もしかして、これはヒントなのかっ！？

　誰かに膝枕してもったら、膝枕の神がスキルをくれるとか！？

　という事は、膝枕をしてくれそうな女性……って、この村で女性の知り合いはアメリアしか居ない。

　だがスキルを得る為……行くしかないっ！

「ありがとう！　コズエ、ナギリ。俺、行ってくるよ！」

「えっ！？　トーマ君っ！？　お姉ちゃんはここに……」

「トーマ！？　あ、あれぇー？」

　背後でナギリとコズエの声が聞こえてきたけど、既に走りだしていてハッキリとは聞こえなかった。

　おそらく、膝枕の神様に認めてもらう為、頑張れと応援してくれているのだろう。

「アメリア！」

「トーマさん。どうされたのですか？　そんなに慌てて」

「少し頼みがあるんだ。そこへ座ってくれないか」

「構いませんけど、突然どうされ……っ！？　と、トーマさんっ！？」

　アメリアの脚に頭を乗せてみたけど、何も起こらない。

　コズエの場合は十万回っていう話だったし、時間なのだろうか。

　一定時間、膝枕してもらったら認められるとか？

　それとも頭を乗せるだけでなく、熟睡しなければならないとか？

「まさか、膝枕をする側でないといけないのか！？」

「あの、トーマさん。い、今はお父さんが留守ですので、奥の部屋へ……」

「よし、アメリア。次は俺の脚の上に頭を乗せてみてくれ」

　アメリアが物凄く困惑しているが、八百万の事は話しているし、わかってくれるはず！

　今度はアメリアに俺の上で寝てもらい、暫く様子を見る事に。

「トーマさん。その、嬉しいのですが、もっと色んな事を……」

「ただいまー。会合が予定より早く終わって……おぉっ！？　楽しそうな事をしているが、奥の寝室を使った方が良くないか？」

「お父さんっ！？　こ、これは……これは何でしょう？」

「俺が聞きたいくらいだが……とりあえず膝枕じゃないのか？」

　いや、どう見ても膝枕なんだが……もしかして、コズエたちは膝枕ではなく、普通の枕の事を伝えたかったのか！？

　結局、延々と膝枕をして、ついでに夕食をいただき……帰宅する事に。

　うん、スキルは何も貰えなかった。

　そもそも方法が誤っているのか、時間や回数が足りていないのかが分からないのが辛い所だな。

「……で、コズエとナギリは何をしているんだ？」

「私たちもトーマに膝枕してもらうの」

「あの女の子ばっかりズルいもの」

　就寝しようとしたところで、コズエとナギリが脚に抱きついて来たけど、そもそも身体の大きさが違うからな？

　膝枕というより、俺の脚が抱き枕にされて就寝したのだが……翌朝、面倒な事が起こってしまった。