第4章〜白草四葉センセイの超恋愛工学Lesson1〜①
――――――美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?? そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ。――――――
スティーブ・ジョブズ(アメリカの企業経営者/1955〜2011)の言葉
4月9日(土)
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clover_field 今日も、竜馬ちゃんねるのお二人の所にお邪魔します!
なんと、竜馬ちゃんねるとのコラボレーション企画を計画中です!
新企画の内容は、詳しいことが決まったらお伝えするね。
#新企画近日発表
#鋭意打ち合わせ実施中
#乞うご期待
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翌日の土曜日の朝、目を覚ました壮馬がスマホをチェックすると、画面の中央部に
clover_fieldさんが、写真1件をシェアしました。
という《ミンスタグラム》の通知が表示されていた。
すぐにスマホのロックを解除して、白草四葉の投稿を確認する。
「さすが、カリスマ・ミンスタグラマー……。熱心だな〜」
苦笑しつつ、朝食の支度を始めながら、竜司にLANEのメッセージを送る。
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今日は、何時に行けばイイ?
追記:
白草さん、早速やる気だよ〜
https://www.minstagram.com/p/CZCke~~~~/?utm_medium=share_sheet
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近所のベーカリー・ショップで母親が購入してきた食パンを高級トースターにセットすると、相棒からの返信が届く。
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午前十時以降ならいつでも!
追記:
壮馬以上にSNS中毒の人間に
リアルで遭遇するとは!?
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メッセージの後には、茶色のクマが震えているスタンプが添えられていた。
友人の返信を既読スルーし、壮馬は、程よくトーストされた食パンに、甘みの少ないピーナッツバターを塗ってかじり付く。本当なら、カリカリに焼いたベーコンとバナナも載せたいところだったが、あいにく今日は、どちらも冷蔵庫内の在庫が切れているようだ。
繊細さを感じさせない見た目に反して、食の好みにはうるさい竜司なら、
「高級食パンに対して、なんたる冒涜……」
と、嘆くところであるが、アメリカのロックスターが愛したというこのホットサンドが壮馬の朝食の定番だった。
「朝食を軽く済ませた分、竜司のランチに期待しよう!」
そう決断した壮馬は、トーストを片手に持ちながら、テーブルに置いたスマホのMINEの画面を操作しながら、
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了解!
ランチは、ベーコンを使った
パスタが食べたい
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と、返信を送る。ほどなくして、送信相手からは、
「気が向いたらね」
という吹き出しの付いたアザラシのスタンプが返信されてきた。
※
竜司に言われた通り、午前十時を十五分ほど過ぎた頃に自宅を出た壮馬が、自宅から自転車で五分ほどの場所にある《編集スタジオ》のドアノブに手を掛けると、すでにカギは開いていた。
「おはよ〜う! 竜司、もうこっちに来てたんだ?」
ドアを開けながら、声を掛けた壮馬に、
「おはよう、黄瀬クン! 今日もお邪魔してます」
返事を返したのは、白草四葉だった。
「お、おはよう白草さん……随分と早い到着だね……」
客人の予想外の早さの到着に気後れしながら応じる壮馬に、竜司が答える。
「オレも驚かされたよ……自分家の方のチャイムが鳴ったから、てっきり壮馬が来たのかと思ってドアを開けたら、白草が立ってたからな……『来ちゃった……』とか言って」
「とびっきりカワイイ女の子が、一人暮らしの部屋に突然訪ねてくる……男子にとって、理想のシチュエーションを提供できたでしょ?」
得意満面の笑顔で答える四葉に、
「「自分で言うな!!」」
男子二名は、声を揃えてツッコミを入れる。
「ひっど〜い!! そこは、独り身の冴えない男子に、夢のようなうるおいを与えてあげた四葉チャンに感謝して、感動の涙を流すトコロじゃないの?」
「誰が冴えない男子だ!? それに、昨日から言おうと思ってたが……白草、発言が上から目線に過ぎるゾ!」
「え〜!? 上から目線って、そんなつもりは無いのに……でも、わたしからあふれ出る魅力が、非モテの黒田クンに劣等感を与えてしまったのなら、謝らせてもらう。そんなつもりはなかったんだけど……ゴメンね」
てへぺろ、と小さく舌を出す四葉に、竜司は「ハァ……どこまでも口の減らね〜ヤツだな……」と、こめかみに人差し指をあてながら、
「まったく……手土産がなければ、その場で、お引取り願ってたところだ……」
と、口にする。
竜司の発した『手土産』という言葉に反応した壮馬は、クッションに座る四葉のかたわらに置かれた紙袋に気付いた。
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