第9話 まーじーかーよー



タイ・クォーン教会の、巨大迷宮めいきゅうした神殿群の屋根達は、

薄曇りの空の下で、淡いグレーの光に包まれている。



キカッ


ドッ、グァアアアアアアァァァン!



突然のすさまじい旋光せんこうと共に、ひときわ大きい教会様式建物きょうかいようしきたてものの大屋根から、

青く清浄に輝く『光柱』が、空に向かい突き出て来る。

『光柱』は一瞬で、空をおおう薄雲を突き破る。



ビュオオオオオオオオオオオ!



あれ?


たけしは自分の身体からだが、天高く『吹き飛ばされている』のを感じる。


あれ? 『大気中』を飛んでるよな?

ついさっきまで、宇宙空間に居たはずなのに......


ぐるりと、周りを見まわす。


え?


ほど近い中空に、さっきまで会話していた

金髪碧眼色白豊満美女きんぱつへきがんいろじろほうまんびじょさんも、一緒に飛ばされて居るではないか。


完全に失神状態だな。


彼女の(かなり)豊かな双丘そうきゅうは、もうケシカランほど、上下左右にあばれ馬だ。

自由落下じゆうらっか無重力下むじゅうりょくかで、しかも『ノーブラ』なのだろう。


確実に我々は、大気中を『スカイダイビング自由落下』してるよね。えーと、彼女たゆん♪の名は……


(セルガさんでス。ちなみに地表まで、高度4000メートル)


このままでは地表に激突する前に、薄布一枚であろう彼女はこごえ死ぬ。


セルガたゆん♪さんを、確保!)


念動テレキネシスハンドを伸ばし、セルガを自分に引き寄せる。


(よし。飛翔フライングと、セルガさんもシールドにつつめ)


金髪碧眼色白豊満美女セルガを、『御姫様抱おひめさまだっこ』して、浮かぶ。


暴力的な『ノーブラ・ヨコチチ』が、(たゆん♪ )とたけしの胸に当たって……至福しふく


ガキン

バキン

ボクン


一緒に飛ばされた屋根のガレキが、急に止まったたけしのシールドに、ガンガン当たり出す。


分析アナライズ


気を撮り直して、ガレキを分析アナライズする。


ふむ。屋根の部材ぶざいは、木材や漆喰しっくいや、泥レンガと焼き色レンガか。


現在は地表から、約一千メートル上空に浮かぶ。


(マスター、『千里眼』で『探査』しましてモ、

眼下の街並みの『建築様式』も、木材や漆喰しっくいや、泥レンガでス。

中世ヨーロッパに近いですネ……

地平線の果てまデ……)


近代建築は、『一切いっさい』見当たらない……か。じゃぁ。


思わず天を見上げる。


(人工衛星ハ……一切いっさい存在しませン)


隼も、力無く報告して来る。


まーじーかーよー

まぁ〜じぃーくわーよおおおおー!


あまりの衝撃と絶望感に、脳内シャウトしてしまいました。


脳内に、地球での近日中のリマインダーが、

走馬灯そうまとうに、駆け抜ける。

同時に、苦虫を噛み潰した表情におちいる。


勘弁してくれー!

マジで『魔王と勇者』が存在する、ラノベ系『異世界』なのかよ!


空中で、金髪碧眼色白豊満美女きんぱつへきがんいろじろほうまんびじょのセルガさんを、『お姫様抱っこ』しながら、強い脱力感に包まれる。





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