第98話 スパルタ

「あ、あの人達はっ!」

「ルシュカさん、知り合いですか?」

「知り合いじゃないです!先日、ラハートフ様とお出掛けをしていた時に襲ってきた人達です!」


まじかよ……


包囲している何人かが先日公爵令嬢を誘拐、強姦しようとしたやつららしい。

俺は死ぬやつらの顔なんて覚えようともしなかったから、先日のやつらかとはわからなかった。


影にも、か……


「ん?ラハートフ様とデートしたんすか?」

「えっ?ででで、デートじゃないですよ!エアルリーザ様もいましたから!」

「まぁまぁ、二人きりじゃなくてもルシュカさんにしては積極的ですね。」

「イーサさんっ!」

「顔を赤くして可愛いっすね。」

「っ!」


ルシュカ嬢が顔を覆いしゃがみこんだ。


「緊張感が無さすぎではありませんか?」

「エアルリーザ様とラハートフ様がいるっすから。今も襲ってこないっす。」

「あー、そうですね。」


納得するクロッシュ嬢。

包囲される前に張った結界を叩き、何かを言っているやつらを見ながらエリザお嬢様に聞く。


「エリザお嬢様、どうします?」

「全員捕まえて、学園の膿を出しましょう。スライムの分裂蜥蜴の尻尾切りかもしれないけど。」


逃げられないよう、さらに結界を張る。


「公爵令嬢二人、子息一人に侯爵子息二人、王族に聖女がこのダンジョン内にいますから、関わりがあるなしに関わらず教会も王族も巻き込みましょう。まぁ、エリザお嬢様の言う通りスライムの分裂でしょうけど。」

「勝負は一旦中止ね。ナトナさんはメリルに運搬の応援を頼んできてくれないかしら?」

「わかった。行ってくる。」

「気を付けてね。」

「うん。」


おお!

消えた!

隠密に磨きがかかっているな……


「アリナさんは一人を持って、モモティルナさん達に勝負の中止を伝えに行ってくれない?」

「わかりました!」

「気を付けて。」

「はい!」


エリザお嬢様に頼まれて張り切り出すアリナ嬢。

アリナ嬢は目についた一人を剣の腹で顔面をぶん殴って気絶させ後頭部の髪を鷲掴みして三層の方へ走っていった。


気絶したやつが結界にぶつかり、急に止まり手を離すアリナ嬢。

結界に穴を空け、俺はアリナ嬢に手を振る。

察してくれたようで再び後頭部の髪を鷲掴みして走っていった。

穴を閉じる。


俺達はモモティルナ達を二層で追い越していた。

早くても三層でしょうと思ってアリナは三層の方へ行く。


あぁ、なるほど。

いるはずもない部外者がいるってことを証拠として一人を持っていったのか。

スムーズに納得させるためか……

納得する、よな?


「ルシュカさん、イーサさん、カシュエさん、クロッシュさん、彼女らが戻ってくるまで対人の実戦をしましょうか。」

「「「「えっ?」」」」

「本気で襲いかかってくると思います。良い経験になるでしょう。」

「「「「えええ?」」」」

「本気っすか?」

「えぇ、もちろん。」


経験を積ませるなんて、なんて優しいんだろう……

襲撃者達は大勢いるから、十分な経験を積めるだろうな。


「わ、私はやります!」

「これとない体験ができます。私もやります。」

「私もやりますわ。」

「わかったっす!やるっすよ!私もやるっすよ!」


安全のため二人ずつ戦闘することになった。

ナトナ嬢がメリルさん達と戻ってきて、ナトナ嬢も襲撃者達との対人戦に参加し出す。


あっという間に相手がいなくなった。

そしたらエリザお嬢様が襲撃者達に回復魔法をかけて、強制的に戦わせた。


襲撃者でも有効利用するなんて、さすがエリザお嬢様だ。

襲撃者達も最後に美少女達の貴重な本気の対人戦の経験を積むことに役が立ててよかったな。


それがモモティルナ達が来るまで続いた。


ぼろぼろの襲撃者達。

ほぼ無傷の俺達。


それを見てモモティルナが、


「な、なんて、酷いことを!治しますね!『スーパーヒール』」


なんということでしょう。

モモティルナが襲撃者に回復魔法をかけました。


「「「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!」」」

「えっ?」

「「「もう戦いたくないっ!」」」

「えっ?」

「なんで回復させたんだあああ」

「えっ?」

「お前達!せっかくモモが回復魔法をかけたのに感謝はできないのかっ?感謝しろっ!」

「回復魔法をかけてくれなんて言ってねぇ!」


モモティルナが唖然、モモティルナパーティーメンバーと襲撃者達が罵り合いが始まった。


ーーーーー

あとがき

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