牛鬼の姿

 鬼塚が牛鬼の姿に戻ってしまった。

 伊万里、一華、本郷は焦って何も出来なかった。野次馬達の中には、怯えてる者もいれば、逆に興味津々で写真を撮ったりしている者もいた。


 そこへ様子を見に来た海原一家がやってきた。

 伊万里は海原一家に気づき

「海原さん…」

 伊万里を遮るように一華が

「この度は、社長が牛鬼だという事について告げず申し訳ございませんでした!」

 一華だけでなく、伊万里、本郷も頭を下げた。

「何でも屋さん…」

 海原昇は、何でも屋一行に近づき

「謝らないでください」

そう言われ、何でも屋一行は顔を上げた。

「海原さん、阿南が申した通り、私達が悪いんです!隠してた事ですし」

 鬼塚はそう言いながら人間の姿になった。

 海原昇は息子の桔平を呼び、

「そうですね…。鬼塚さん…」

 海原と桔平は満面の笑みになり

「なんで早く言わなかったんですか⁉︎私と息子の桔平は妖怪大好きなんですよ!そんなぁ!大好きな妖怪に娘の紬の送り迎えしてもらってるなんて嬉しいです!な?紬」

 海原は娘の紬にそう言うと

「おじちゃん、お迎えありがとう」

 紬はニコニコしながら言った。

「おじさん、牛鬼だって事隠さないで!僕、生で牛鬼見れて感激だったんだから」

 桔平は目をキラキラして言った。

「ありがとう…。あと、僕の事は、お兄さんって呼んでね」

 鬼塚は泣きながら言った。


 問題のゴミ屋敷に火を付けた人物は、ゴミ屋敷の中で亡くなってた高齢女性の娘でその後警察に逮捕された。動機は介護に疲れたという理由だそうだ。その亡くなった高齢女性は警察で死亡解剖が行われた。死因は栄養失調だった。


 一方、何でも屋一行はというと牛鬼が経営してるとSNSで話題となり、TVの取材もあった。

「繁盛してますね」

 伊万里が言うと

「皇さん、前にも話した通り人間社会で溶け込んで生活してるのは狸や狐が多いから牛鬼が珍しいんだよ」

鬼塚は苦笑いしながらいった。

「鬼塚さん〜!もうすぐ依頼者さんがお見えです」

 一華がそう声をかけると

「そうだ!早く準備しなきゃ!」

 鬼塚は急いで依頼者が来る前の準備をした。

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