第77話 レポート作成

 藍田と待ち合わせをして、レポートを書くことにした。

 お互いの住んでる場所の中間くらいの駅で待ち合わせをして、良さそうなお店を探す。


 こういう時は前もってお店を調べておいた方がいいのだろうが、もしそこのお店がいっぱいで入れなかったら逆にカッコ悪いかと思って、街ブラデートからのお店選びということにした。

 その方が長い時間一緒にいられるし。


 良さそうなお店を覗きながら、2人であーだこーだ話して、ブラブラ歩く。

 そのうちココっていう店を見つけたので、そこに入る。

 飲み物を注文して、持ってきてもらったらレポート作成を始める。


 俺:「まずは、レポートの目的ね。」


 藍田:「目的って、本当の目的は、“カケルくんに許してもらうこと”だよね?そんなレポート変だよね。」


 俺:「うん。じゃあ、それは一旦忘れて、カケルくんが俺達のレポートに求めてることは何か?についてだけど、やっぱり“お化け屋敷ゲームを体験してどう思うか”、じゃない?」


 藍田:「そうだよね、やっぱり。

 お化け屋敷ゲームを体験して、私達が感じたこと、良いところや悪いところとか?」


 俺:「そうだね。あ!お化け屋敷が割と平気な男のオレと、お化け屋敷が全く苦手な女子の藍田の、感覚の違う2人が今回のお化け屋敷ゲームについて考察して、比較するっていうのはどうかな?」


 藍田:「それ!いい“目的”だと思う!」


 俺:「良かった。じゃあ、これでいこう。

 最終的な結論て、〝良い〟か〝悪い〟か、藍田はどっち?」


 藍田:「うーん、どうだろ?結論て、〝良い〟か〝悪い〟かなの?なんか違う気がする。

 やっぱり、コレがこうだからこうだったの議論を先にして、考察してからこういう結論ていうの出したい。

 書くのは後にしよう。」


 俺:「そうだね。」


 藍田:「このレポートって、私達の主観的な意見ばっかりになりそうだけど、参考文献とかいらないよね?」


 俺:「ハハ、そこまでじゃないだろ。藍田は真面目だな。

 え?本気のレポートにする?」


 藍田:「あー、違うか。そうだね、多分体験してどうだったかっていう感想文程度でいいんだよね?

 フフッ、本気のレポートもらっても困るよね。」


 俺:「オレだったら、藍田の超マジメなレポート見たいけど。その方が絶対おもしろい。

 でもさ、藍田にすっげーダメ出しされたら、立ち直れないかも。」


 藍田:「ダメ出しなんてしないよ!すっごく怖かったけど、家帰ったらおもしろかったかもって思ったよ。

 あ、そうか、〝良い〟か〝悪い〟かだったら〝良い〟だ。」


 俺:「そこは一緒だね。

 じゃあ、まず最初のキャラについては?

 俺は、初めだけ可愛いやつじゃなくて、最初っからエグい方がいいと思う。」


 藍田:「私は全部可愛いキャラにしてほしい。リアルなのって、本当に無理。

 でも、最初だけキャラが違うのって何か意味あるかな?」


 俺:「んー、何だろね?ウォーミングアップとか?

 それか例えばさ、全部同じ怖さだったら、全部同じに感じて最後飽きるかもしれないとか?

 怖いレベルが一定だと、それに慣れちゃうっていうか。

 アップダウンがある方が、飽きずに長く楽しめる?」


 藍田:「だったら〝怖い〟と〝そうでもない〟を交互にするとか?」


 俺:「お化け屋敷に来る人って、絶対〝怖さ〟を求めて来るんだよ。怖くないならお化け屋敷じゃないからね。」


 藍田:「それなら、2部屋ずつあるんだから、怖いのとそうでもないのを分ければ?」


 俺:「それだと、〝怖い〟バージョンばっかり列になると思うけど?」


 藍田:「そうかな?逆に、いろんなパターンあった方が、リピートしそうだけどな。」


 俺:「じゃあさ、可愛いオバケキャラにしたとして、藍田だったらリピートする?」


 藍田:「どうかなー?怖さにもよるけど…多分1回でいい。」


 俺:「ほら!それじゃあ〝怖い〟ばっかりで良くない?」


 藍田:「うーん、これはやっぱり、2人の意見の相異だね。」


 俺:「そうだね、逆にいいよね。全部同じ意見に寄せちゃうと、比較にならない。

 ナイス考察!」

 

 とまあこんな感じでゲームの一つ一つについて考察していく。

 やっぱり俺は〝もっと怖いの〟という意見で、藍田は〝可愛いキャラ〟推しなので、議論はほとんど平行線だ。


 すごく時間がかかったけど、ボリュームも内容も、結構しっかりしたレポートが出来た。


 きっとこれなら、カケルくんも納得してくれるはず!

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