第69話 メール

 メールを送ったのはお昼の1時頃。


 夜8時、返信来ました!!

 やった!


 『幹事お疲れ様でした。私も楽しかったです。無事に帰れました。』


 って、以上ですか?

 あ、メール分けて送ってくるやつ?


 …来ないけど。


 俺の、『よかったら、また飲みに行かない?』

は、どうやらスルーされてしまったようです。


 こういう場合は、どうしたらいいんだろう?


 ①もう一度、『また飲みに行こう』のメールを送る

 ②俺と飲みに行くのは嫌?と聞いてみる

 ③無難なメールを送って、メールのやり取りを続けて、頃合いを見てもう一度誘う

 ④諦める


 とりあえず、俺が思いつくのはこれだけ。


 悩んだけど、どれが正解か全然分からない。

 超恋愛初心者なのですから。


 とりあえず、アユタに聞いてみようと電話する。

 「アユタ?オレ、大聖。今ヒマ?」

 「おう、どうした?ヒマだけど?」

 俺は藍田にメールを送って、来た返事の内容を説明し、どうしたらいいか相談した。


 アユタの回答

 「電話してみれば?」


 「えー?いきなり電話⁉︎」


 「そんなメールなんてチンタラしてないで、電話してみれば?今メール向こうから来たんだろ?都合悪けりゃ出ないし、嫌ならかけ直しても来ないだろ。

 この前会ったばっかだから、電話でも全然おかしくないぞ。

 電話して、話したときの感触で、いけるかどうかかなんとなく分かるだろ?

 ダメな時は、嫌そうな話の仕方するよ。

 じゃあ、頑張れ!」


 と言って電話を切られた。


 メールを送る前に一瞬電話しようかとは思ったけど、今の俺の選択肢に『電話』は無かったなぁ…。

 世の中の皆はそんなもん?アユタがストレートなのか?


 次に佑に聞いてみる。


 佑の回答

 「オレなら即諦めるね。深追いはしない。」


 「そう?かなり意外!なんか、佑ってずっと待ってるタイプかと思った。」


 「まさか!

 大聖さ、飲み会のあと送るの一回断られてるでしょ?それがあっての今回のスルーは、まず望み薄だね。

 オレなら諦めて次探すよ。」


 「オレ、そんな恋多き男じゃないしなぁ…。」


 「まあ、諦められないなら頑張るしかないね。

 彼女の場合、お酒が嫌いってだけかもしれないし。」


 「藍田ってお酒嫌いなのかな?」


 「あの日、お茶とかノンアル頼んでたよ。だから、お酒飲めないのかなって思った。たまたまあの日だけかもしれないけど。

 昼間のデートにでも誘ってみれば?それでもダメなら、やっぱり脈無しだろうね。」


 俺、全然気付いてなかった。

 そうか、お酒嫌いだったんだ!…かな?


 もう一度誘ってみるか?デート?


 デート⁉︎


 いや、それは一気にハードル上がり過ぎ!


 結局答えが出ず、電話をかける勇気もなければデートにも誘えず、眠れない夜を過ごした…わけでもなく、いつの間にか寝てしまっていた。


 起きた後、やっぱり様子見で、無難なメールを送ってみることにした。


 勉強の内容とか、学校の様子とか、サークルとか。

 話題は少ないから回数も多くできないけど、元同級生として、あんまりウザいと思われないように、かつ忘れられないように。


 普通のメールには、普通のメールで返してくれてる。すぐでもないけと、気になるほどの遅さでもない。

 遅い時は、『バイトしてた』とか入れてくれる。


 そんなに嫌がられてる感じはなさそうだ。


 春休みの頃に、そろそろいいかな?と思って、様子を探ってみたら、「ほとんど毎日バイトで、何日か地元に帰ってくる」との返事で、俺にはまだちょっと誘えるようなスキが無かった。

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