第48話 中級コース③
9番目のポスト。
アユタの問題。
『プレイヤーの攻撃
問題:日本伝統芸能“猿楽”(能)を室町時代に大成させた、
①兄弟 ②父子 ③他人 ④恋人』
アユタ:「観阿弥・世阿弥はちゃんと習ったけど…どれだっけ?
さっきから間違えてるから自信無いなぁ。2人は分かる?」
俺:「いやー、どれかな?いつもセットで名前出てくるけど、関係って言われると…。」
佑:「恋人だとびっくりだけど、それではないよなぁ。」
アユタ:「そういえば、オレまだ“知恵の本書”持ってるんだった。でもなー、ここで使うのかぁ。」
俺:「微妙?」
アユタ:「知ってるはずなのに、思い出せないのはなぁ。全く知らないなら悔しくもないんだけど。
ま、いいか使ってしまえ。」
アユタは“知恵の本書”を使う。コインは100マイナスにになる。
『観阿弥と世阿弥は、大和猿楽の出身で、室町時代の将軍 足利義満の支援を受けて、能を大成させた父子である。』
アユタ:「あー、そうか、そう言われたら親子だな。やっぱ知ってたよ、悔しいな。」
俺:「そうか、父と子なんだね。日本の伝統芸能って世襲制が多いもんね。」
佑:「確かにそうだ。でも、学校のテストじゃ関係について出た記憶ないから、適当に覚えてた。」
アユタは正解の②を選択し、100コインと“秘宝”を手に入れた。
俺:「秘宝って何?」
アユタ:「さあ?秘密の宝だろ。」
佑:「中身何か教えてほしいよね。」
カケルくんとお姉さんに目をやるが、やっぱり笑ってるだけで教えてくれない。
秘宝やら秘薬やら、秘密主義だな。
10番目のポストへ向かう。
途中にあるのは“宝箱”と、木の枝の上に置かれたステンドグラスのキャンディボックスの看板だ。
少し離れた所から見ると本物に見えて素敵だ。
今までの看板と質感が違う気がするが、ゲットする。
俺は“キャンディ”、アユタは“スズラン”、佑は“ビール”をそれぞれゲットする。
俺:「ステンドグラスの絵、綺麗だね。これだけ絵のクオリティが違うね。」
カケル:「これはね、オレの思い出なんだ。だから気合い入れて制作したんだよ。」
佑:「思い出?」
カケル:「うん。小学校5年生の時の、授業の課題。セロファンで作るやつ。記憶がある中で唯一、皆の前で褒められたんだ。」
俺:「あー、なんか記憶あるよ。すごく素敵だって思ってた。」
カケル:「うん、あの時も本宮くんに褒められて嬉しかったんだ。で、この場所が1番映えて綺麗だと思ったからここに仕込んだ。
キャンディボックスは宝箱とあんま変わらないかと思うし。
…なんか、こんな種明かしして恥ずかしいな。」
アユタ:「んなことないよ。素敵だと思う。」
カケル:「ついでに言うとね、今の時点で1番古いステンドグラスはドイツにあるんだ。
ドイツには“ドイツスズラン”ていうスズランの花があるんだよ。」
佑:「へー、だからゲットアイテムが“スズラン”なんだね。」
アユタ:「じゃあ“ビール”はドイツビールなんだ。」
カケル:「うん、そうそう。この看板とその関係に気付く人はいないだろうなぁ。」
なんか、制作者の思いが見える瞬間だ。
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