第16話 第一ステージ②

 『プレイヤーの攻撃』


 今までとは違ってクイズは出題されない。

 

 横の画面に攻撃の指示が出たので、とりあえずソードを上から振り下ろしてみる。

 3人共ヒットした。

 端末に300の表示が出る。 


 ヒットするとコイン獲得になるようだ。


 俺達の攻撃が終わり、敵のHPゲージが4分の3ほどに下がる。


『モクギュルの攻撃』


 敵のモクギュルはガサガサガサと音を立て、手の部分の枝を振って攻撃する。


 その瞬間、腕の辺りにワサワサッという衝撃がある。

「何?気持ち悪!」

 びっくりした!

 衝撃自体は軽いものだが、敵の攻撃を受けると、自分の生身の体にも感触を受けるのだ。

 

 端末を確認すると、自分達のHPが少しだけ下がる。


「何だこれ…?」

 俺達は顔を見合わせる。

 皆の顔が少し真剣な表情になる。


『プレイヤーの攻撃』


 俺達はさっきより力を込めてソードを振り下ろす。

 ヒットした!

 コインを確認すると500コイン。敵のHPゲージは半分より少し下まで下がる。


 俺:「うまくいけば3回の攻撃で倒せるかな。」

 アユタ:「そうだなー。でもちょっと厳しいかも。」


『モクギュルの攻撃』


 モクギュルはガサガサと手の枝を振り、体をねじるようにギュルッと音を出して攻撃してくる。


 今度は軽くドンッという衝撃を受ける。

「痛っ!」

 軽くではあるが痛みを感じる。


 3人のHPは3/4まで下がる。


佑:「痛いのはヤダー。」

俺:「次で倒そうぜ!」


『プレイヤーの攻撃』


アユタ:「いくぜ!」


 俺達はまた力を込めて大きくソードを振り下ろす。

 

 だが、アユタのソードだけがヒットし、俺と佑のソードは空振りだ。


 アユタ:「マジか⁉︎何やってんだ!」

 俺・佑:「ごめん!」


 敵のHPゲージは少ししか下がらなかった。残り1/3くらいだ。


 『モクギュルの攻撃』


アユタ:「来るぞ!」


 モクギュルはガサガサと手を振り、開げていた両腕をゴーという音を立てて閉じる。


 またドンッと体に衝撃があるが、さっきと同じレベルだったので、痛みは軽い。


 3人のHPは半分より少し上まで下がる。


『プレイヤーの攻撃』


俺:「今度こそ!」

佑:「おう!」


 俺達はまたソードを大きく早く振り下ろす。


 今度は全員ちゃんとヒットした!


 敵のHPゲージは空になり、モクギュルは倒れ、そして消えた。


 横のスクリーンに

『プレイヤーの勝利!

 5,000コイン獲得!』

と表示される。


 「やった!勝った!」

 俺達は全員で勝利を讃え合う。

 少し緊張感も解ける。


 俺:「本当に痛いな!」

 佑:「うん、びっくりした!」

アユタ:「痛いって最初に言ってたけどさ…ゲームに痛み付ける必要ある?」

 俺:「だよな?俺もそう思う。」


 佑:「痛くなかったらさ、本当に戦ってる感覚で面白いのに。」

 アユタ:「VRの方が世界に入り込めるけど、こっちは実空間に敵がいるから、また別の感覚だな。立体的だし。」


 佑:「でも、よりリアル感出すための痛みなんだろうけどさ…。痛いとちょっと恐いよね。」

 俺:「賞金付きだからかな?」

 アユタ:「ああ、そうかも。痛いと恐怖感あるから、やらなくなる…?関係ないか。」


 横のスクリーンに

『NEXT STAGE ⇒』

の表示が出て、敵の後側にあった扉が開く。


 俺達は次の部屋へ移動する。

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