第25話俺は変態じゃない

【俺は変態じゃない】


―1階層上まで戻って


「なんで2人は仮面なんですか?俺は?」

「いや、だってかっくん有名じゃない」

「イヤイヤ、有名も何も関係ないでしょ、変態ですよ変態、少しは俺の事も考えてくださいよ」

「ああ、私も少しそう思ったが、既に有名人になっているからな、それに今回も正体もばれずうまくいったんだから」

「はあ」思いっきり落ち込みながら2人の跡をとぼとぼついて移転魔方陣で1階層へ 

買取所に向かう中、ちょっと思いついたことがあったのでさゆりさんに相談した

「このガントレットと剣は使えそうですか?」

「・・・そうか、ゆうと高谷の高校パーティーの装備は学校から借りているんだな」

「はい」

「ガントレットは籠手として使えないかな? 剣は、片手剣としては大きすぎるが、大剣としてなら丁度良い大きさじゃないか?」

「ゆう、いる?」

「うん」

「・・・・・・」俺が黙っていると

「剣は大きすぎるけど、ガントレットはほしい 」

「わかった、剣は俺、ガントレットはゆうでいい?」

「うん、ありがとう♡」

「高谷もほしいのか?」

「はい、うちのパーティにも籠手がほしいです」

「それじゃあ、また此処にきて、あと1回ゴブリンチャンピオン達を倒すか」

「いいんですか」

「まあ、この階層の他の素材を買取所に持って行けば文句は言わないだろう」

「はい」


俺達は結局その後、もう1回この階層に来たけど、ゴブリンパラディンは現れず、チャンピオンを倒してもドロップ品は出なかった。


そのまま下の階層に行き、別のゴブリンを倒しまくって、また次の日も30階層に言ったけど、やっぱりドロップ品はでなかったので、今回は剣だけであきらめた。ただ、その結果、未知の31階層もなんなく攻略してしまった。


それから伊達君に剣をプレゼントすると、すごい大剣をありがとうと言って喜んでくれ、それからは伊達君は今まで以上に暇さえあれば大剣を振り回している。


自由自在に振り回せるようになればしめたもの。


俺達が狩り取ったとは言えず、さゆりさんとゆうが狩り取ったドロップ品をプレゼントしてくれたという事で、ゆうの方もさゆりさんと俺からと言って高校パーティーメンバーに渡したそうだ。


中級ダンジョン中層部のドロップ品だから、初級の俺達が買えるような物ではない、その喜びようは半端なく、しばらくそのことで盛り上がっていた。


伊達君の攻撃力はこれでかなりアップする。


次の日から、あ~あ、やっぱり。


姫パーティーは案の定、厚労省所有のアーティファクトを使った撮影動画が公開されていた。


#出た、今度は豊洲

#速い、動きが! 変態袋マン、すごい!

#やっぱり、本当に守ってくれたんだ

#さすが

#変態袋マーン

#変態袋マンきしょ

#何?この猫耳、かえってキショいんだけど、それに、まつ毛? うわ~キモ

#やっぱり、変態は、センスも変態 

#$%&)(&%“!”(‘%&

(猫ミミ、まつ毛大失敗、あ~あ、ゆう、どうしてくれるんだよ~)


その3日後、須藤さんに全員呼び出され、またいつもの応接室


須藤さんと鬼頭さん2人で入ってきて、鬼頭さんはニッコリだけど、須藤さんはいやらしいニヤニヤ顔で


「よお、変態袋マン?」

「はあ」

「それと、変態と仲良しのお嬢さん達」

「はあ?!」

 (ほ~ら、ゆう、ざまあみろ、あんなネコ耳コンビニ袋なんか用意するからだ)

「須藤さん、あまりからかうのは良くないですよ、これだけの功労者に対して失礼です」

鬼頭さんありがとう

「おお、すまん」

「はあ」

俺達の顔色を無視して須藤さんが話始める 

「今回はかなりのお手柄だぞ、さすがだな」

「はあ」

「あの姫様達を助けたんだぞ?」

「はあ」

「やったな!」

「はあ」 さゆりさんもゆうもなんで黙ってるんだ?

「動画見たよ、いや~今回も思いっきり変態だったな」


そっちかよ、っていうか、ネコ耳とまつ毛はゆうのセンスだよな、そう思って、ゆうを見たけど知らん顔、あ~


「須藤さん!」

「悪い悪い」

ほんと、鬼頭さんありがとう


「あ~、それと3人にこれ、そして高谷君にはこれ」

3人に手渡されたのは小さなカード、そして俺には紙袋


「何ですか?」

「ヤヤコカードだ、10万円分だそうだ」

「ん?」

「変態君の首の後ろに、ゼーンブイレベンのロゴがな」

「はあ」

「まあ、姫を助けた英雄にロゴマークがあって、それはもうすごい宣伝効果で、本当は1年間使い放題カードくらいの話らしいんだが・・・・」

「あ~、変態だからですか」

「まあ、そういう事だ」

「で、こっちは?」

「開けてみろ、まあ直ぐにわかる」

「紙袋にぎっしり詰まったコンビニ袋」

「はあ~」

「これからも是非よろしく、だそうだ」

「そうがっかりするな 協会からはお前たちにとって、うれしい話もあるんだから」

「はい?」

「制限付きだが、川越ダンジョンに入れることになった」

「「ほんとうですか?」」今まで沈黙のさゆりさんとゆうが

すごい勢いで立ち上がった。

「正直言うと、あまり良い話ではないんだ」

「どういう事ですか?」

「条件があってな、1つは国防軍同伴 というより国防軍の後ろについて行くこと」

「・・・・・・」

「もう1つが・・・あれと同じ格好だ」

「えっ?」

「変態君とその仲間たち ってことだ、で特別カードを作った」

カードを見てみると『川越ダンジョン許可証』

パーティー名『変態君と仲間たち』となっている

名前が違う。

「あの、この、 『変態君と仲間たち』って?」

「個人名とレベル表示を隠すため、仮名でこういう事になったんだ」

「俺は、コンビニ袋ですか?」

「私達は仮面?」

「まあ、仮だから」

「・・・・・・・」

「まあ、そうだな、隠蔽スキルで入った方が、何かと融通が利くし、この話にメリットはないかもしれない」

「明らかに、メリットないです」

「そうだな、協会にしかメリットはない話だ」

「協会ですか・・・・・・ 」

「ああ、協会にとっては、協会初の日本で8番目の上級ダンジョンパーティーのデビューになるんだ。」

「はあ」

「なんでこんな事になったんですか」

「協会が、厚労省に言い寄ったらしいんだ、無事帰還できてよかったですね。姫達にお怪我はありませんでしたか?

ってな感じでな」

「はあ」

「向こうにとっては中級ダンジョンで助けられたってことだけで気まずいんだが、まあ助けたのが変態で話題のパーティだし、どうやらボスモンスターがボス部屋から出てきたらしくて、さらにあれだけのモンスターが一斉に現れたらしいんだ、そこの処は十分理由が付くけど、その変態達が実は管理局の紐付きだったなんてことがわかって、

そこを、管理局がつけこんだんだ、厚労省がそれを断ったらしくて、それじゃあそのかわり上級ダンジョンに入らせろ、と迫ったわけだ。

厚労省も『はいわかりました』なんて素直に言えないから、『国防に推薦しておく』という事なってな」


「そうですか」

「ああ、国防は今話題の変態パーティーと一緒に入れば自分達の評判も上がる。ただ自分達より目立つのだけは阻止したいから、国防の後ろをついて行くという条件が付いたんだ」


「つまり、管理局のために、川越ダンジョンに入れという事ですか?」

「まあ、一言で言うなら、そういう事だ」

「それは断れないんですか?」

「うーむ、難しいな」


3人は顔を見合わせて、やっぱり須藤さんにかかわらなかった方が良いんじゃなかった、後悔の念が頭をよぎった。


3人とも俯き加減で難しい顔をして、黙っていたら

「申し訳ない、最初の約束では素材狩り取りくらい と言っておきながらこんなに協会の覇権争いに巻き込んでしまって、本当に申し訳ない」

そう言って須藤さんが頭を下げた

・・・でもいくら頭を下げたからって・・・・・・・

「すみません、ちょっと3人だけで話したいので一旦外に出てもいいですか」

「ああ、わかった 話し合いが終わったら連絡をくれ」

「はい」

そう言って3人で一旦ビルの外に出た。

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