第12話いよいよ明日は高校デビュー

【いよいよ明日は高校デビュー】

学校ではダンンジョンに入る日が思ったより早く来た。

「明日は、Dクラス全員でダンジョンに入る、先週組んだパーティーメンバーで明日のダンジョンについて打ち合わせと準備をしておくこと、それと今日中に装備管理室に行って装備を借りておくこと、貸出票を出せば借りられるから、かならず忘れない事、以上」

今日1日かけて明日の準備をする事に

俺はこっそりレインで、ゆうとさゆりさんにこの事を連絡すると、さゆりさんが隠蔽で付いて来てくれるとレインが返ってきた。

この前のセンサーの事が気になって聞いたら、さゆりさんも水魔法をスキル登録(取得)して、外気温調整ができるようにしたので、4人で入るとき、一緒に入ればセンサーは問題ないはず、

もし監視員が把握した人数と、コントロールセンターが把握した人数に誤差があった場合、行政側はどんな対応をするのかも見てみたいしな、という事だった。

本当はゆうと レベル隠蔽 のテストをした後にダンジョンに入りたかったけど、ぶっつけ本番で心配だった。

ダンジョンの入り口でデバフの7回掛けだ!

楠さんの方を見ると既に大谷さんが隣の席に座っていたので慌てて側に行くと、ナイトの男子もちょうど来たところで4人で打ち合わせ。

他のパーティーの声も聞こえてくる

緊張はしているもの、半分遠足気分

「お昼どうする?」

「ダンジョンの中にコンビニはないよね」

「お弁当作る?」

大谷さんはしっかり“初級ダンジョン攻略法”というガイドブック本を持ってきており

 楠さんも一緒に同じ本を買って読んでいるらしく

「ねえ 時雨 なるべく荷物は少ない方が良いよね、コンビニのサンドウィッチかおにぎりと非常用でブロック?」

「そうね、水もペットボトルにして、最悪 全部捨てて身軽になって逃げれるようにしなきゃね」

「うん そうだね」

俺とナイトの伊達君は2人のやり取りを、聞きながら、その都度頷く。

マジックバックの存在がわからないから、うかつに口にだせない、でも、初級ダンジョンだし、さゆりさんが隠蔽でついて来てくれるから、何かあっても大丈夫とは思うけど、だいたいの持ち物が決まったところで、

「それじゃあ 装備品を見に行こうか」楠さんがそう言って

皆で装備管理室に行きそれぞれ自分にあった武具を手にとっていると

「となりの闘技場で試用できるよ」

管理室の職員がそう言ってくれたので、それぞれ気に入った武具を持って闘技場に

結構、皆、重装備で 伊達君は大きな盾に1mくらいの片手剣と刃渡り30cmくらいのロングナイフを2つ。

アーチャーの大谷さんは弓は当然だけど、胸当てエルボーパッド、ニーパッド、ケツパッドまで。

プリーストの楠さんは同じ革性だけど、大谷さんのより一回り大きい、さらになぜかナックルガードまで。

2人にもしもの時用にと30cmコンバットナイフを渡すと最初はびっくりしたけど、うんうんと納得しながら受け取ってくれ、俺はこの前のように鉈1本とコンバットナイフ2本

それぞれ装備して 闘技場で動きのチェックをする。

「うわ~結構重いね」

「しぐれちゃんの防具、ちょっと大きくない?」

「うん、でも私プリーストだから防御重視って言うか」

「でも動けなきゃ、逃げるにも大変だよ」

「そっか、じゃあ 道子ちゃんと同じのにする」

「うん、それがいいよ」

俺は伊達を見て

「重くないか?」

「うん、でもナイトだから」

「いや 初級ダンジョンの1-2階層だから もう少し小さい盾と剣で大丈夫だろ」

「伊達君、1-2階層はスライムとゴブリンとラビット、たまにボアが出るくらいだから大丈夫だよ」

「そうか・・・」

伊達君と楠さんは武具を交換に行くと装備管理室の職員さんが親切に教えてくれて、さっきより動きやすい武具になって闘技場に戻ってきた。

各自、動きをチェックして、貸出票を提出したところで……やっぱり心配なんだと思う。

学校もみんな 明日の準備があるだろうからという事で午後からフリーなんだけど、準備が終わってもなかなか帰らず、ずーっと4人で学校に残っていたので、しょうがない

「いったん家に帰って装備を置いてから皆でホームセンターのダンジョンコーナーに行ってみないか、何か使えそうなものがあるかしれないし、店員さんも色々知ってる事があったら教えてもらえるし」と声を掛けたら

「「「うん、行く」」」

3人とも嬉しそうにしているので、本当はこの世界では俺も初めてなはずだから、同じ心境じゃなきゃ不自然なんだけど、3人はぼっちになりかけの俺に声をかけてくれパーティーに誘ってくれた。

そんなやさしい奴らなんだから、手助けしなきゃ、と思った。

そういう事で16時にホームセンターで待ち合わせる事になった。

ゆうにはレインで事情を説明してから俺もホームセンターに向かった。

ダンジョンコーナーで色々な装備品を見ては雑談交じりで話しをする。

やっぱり皆不安なのだろう、その気になれば3人くらい俺1人で守れるし、さゆりさんが隠蔽でついて来てくれるからこのメンバーでも上級ダンジョンの上層からいまでなら平気なくらい安心なんだけど、俺達のレベルは絶対秘密だから、ダンジョン経験者から聞いた体で

「経験者から聞いたんだけど、初級ダンジョンは、あのガイドブックに書いてあったとおりだって言ってた。

無理して下の階層に行こうとしないで、最初は慣れるだけでも違うって、だからもし、他のパーティーが下の階層に行っても、俺達は俺達のペースでいいんじゃないかな、初めてだしまだ3年間もあるからゆっくりでいいんじゃないかな、ねっ」

そう言うと、少しは安心したのか

「そうよね、私達のペースよね」

「そうよ」

それを聞いた伊達君も「うん、そうだよ」

「そうだよ、1階層の様子を見るだけでもいいって思えばいいんだ」

「うん」「そうだ」

なんとなくだけど緊張が解けたようで、ダンジョンで使えそうなちょっとした小物雑貨を買ってから4人でファミレスで一休みして、

「じゃあ 明日」と言って別れた

ゆうからレインが入っていたので 、今から帰ると連絡すると、俺の部屋で待ってるって??

そのまま家に帰ると、俺に部屋にはゆうと陽がいて

俺が帰ってくるなり 陽が

「明日ダンジョンに行くって聞いたんだけど」

「ああ」

「じゃあ、もう少ししたら私も行ける?」

「そうだな、 ゆうと2人でダンジョンに何回か入ってからだから、GWあたりかな」

「うん」笑顔いっぱいで自分の部屋に戻って行った。

「ゆう、 陽となにを話してたんだ?」

「うん、まあ、ダンジョンの話がほとんどかな」

「そっか、陽はなんであんなに、ダンジョンに行きたがってるんだろう」

「この世界がそうなんだと思うよ、陽ちゃんだけじゃなくて皆そうみたい、かっくんが探求高校ってのもあると思う。この世界だと探求高校って結構有名だから」

「そうなんだ」

「うん、だから兄が探求高校に通ってるって言ったら、きっと友達もダンジョンの事を色々聞いてくるんじゃない?」

「そうか」

「うん、この前会った私の友達も 時々聞いてくるよ」

「ふ~ん、じゃあダンジョンに入った時の話は、きっと興味深々で聞いてくるんだろうな」

「そう思う」

「俺達も早く初級ダンジョンでデバフの練習しなきゃな」

「うん」

「今度の土曜だよね」

「大丈夫?」

さゆりさんが隠蔽で同伴してくれる事を言うと安心したみたいで、この日は陽がやたら機嫌が良くて、ゆうと話をしたいらしく結局ゆうも一緒に晩御飯を食べ、家まで送ってきた

「明日がんばってね」

「おお」

「じゃあ おやすみ」

「おやすみ」

//////////////////////////

――豊島の朝はちょっとだけ早い

次の日 朝8時30分 早めの到着。

いつも通学で使う駅から5つ目の駅、俺の元の世界では昔遊園地があった跡地、ここに初級ダンジョンがある。

皆が来る前にデバフをかけ始める。

3回目をかけ終わった頃 ゆらゆら半透明人間が現れる

同じパーティーメンバーには半透明だが、それ以外からは透明で何も見えない

「おはようございます」

「デバフかけ終わったのか」

「はい、見てください」そう言ってステータスを開くと

「おお、レベル7か」

「はい、7回、掛けました」

「大丈夫か?」

「そうですね、やっぱり動きが遅くなるというか、体の力も結構なくなるというか、早く中に入って外したいです」

そうしているうちに皆がやってきた

「あの子たちです。初めてなので昨日はかなり緊張してました」

「そうか、わかった、じゃあぴったり後ろについて行くから」

「はい、よろしくお願いします」

そう言って俺の横に立って皆を見ている。

「おはよう」

「「「おはよう」」」

「初めてのダンジョンだね」

「うん」

「昨日ね、家に帰ったらお母さんが興奮しちゃって、大変だったの」

「うちも弟がいいな~いいな~ってずーっとうらやましがられて大変だった」

「俺の所も妹が、言ってきたよ」

「へ~ 高谷くんって妹がいるんだ」

「ああ」

「ふ~ん」 やっぱり皆緊張している、伊達君なんて一言もしゃべらない

なかなか皆行こうとしない、ここで話してもしょうがないから

「じゃあ行こうか」

そう言って俺が先頭になって、皆がぞろぞろついてくる

入口の監視員に

「おはようございます、探求高校1年D組のパーティーです。よろしくお願いします」

そう言って探求者カードを見せると

「そうか、探求高校か、今日が初日か?」

「はい」

そう言って判定装置(測定機)にカードを置いて

顔認証?のカメラみたいな装置の前に立つ。

登録カードを見せたけど、測定もするんだな~ 

デバフかけて正解。

「ほお」 そっか一般人に比べると、初心者でもレベル7ってのは探求高校生だからって思うんだろうな。

やっぱり俺レベル7に見えるんだ、一安心。 

監視員さんがやさしく声をかけて

「まあ初日なんだから、無理しない程度に頑張れ」

「「「「はい、行ってきます」」」」

いよいよダンジョンの中、俺が先導して中に入る。

薄暗いトンネルを抜けると、広―い草原が、遠くの方に林が見える。

今日は平日で、初級ダンジョンの1階層という事もあって、俺達Dクラスの生徒しかいなかった

「うわ~、広―い、ピクニックに来た気分」

先生が先に入って待っていたらしく、全部のパーティーにジョブの初期設定の方法や、注意事項や配布物を渡し指示をだしている。

俺は、もしもの時、俺やさゆりさんの事がばれないよう、なるべく他の生徒から離れたくて、先生からもらったマップを見ながら

「注意しながらあの林のあたりまで行ってみようか」

「「「うん」」」

昨日決めたように、俺が一番前、その次に伊達君がいて、大谷さん、楠さんの順で歩く。

一番後ろにゆらゆら半透明のさゆりさん、皆には見えないけど。

しばらく歩いていると、前方300m先の右斜め45度のあたりの高めの草が生い茂ったところが揺れている、俺にはピンクのポイントが5つ見える、おそらくゴブリンだ。

「皆、あそこに ゴブリンがいるみたいなんだ」

「えっ、もう?」

「ああ」

「どうしよう」皆一機に不安になったようなので

「大丈夫、ガイドブックに書いてあるとおりにすれば大丈夫、矢でも剣でも簡単に倒せるから、じゃあ戦闘態勢に入るよ」

「「うん」」「ああ」

「何匹いるか見てくるから、伊達君は盾を、大谷さんは弓の準備、楠さんもナイフを構えて、じゃあ行ってくるね」

「「「うん」」」

まあ、何があってもさゆりさんがいるから安心なんだけど、できればこの3人だけでゴブリンを倒してほしい。

こっそりバフを掛け、一気にゴブリンの前に。

背の高い草に隠れていたゴブリンがびっくりして俺を見上げた時、先頭の1匹の頭に鉈を振り落とすと、簡単に頭が割れた、あっけないけど、こんなものだよね。

のこりは、4匹、一瞬驚いて固まっていたけど、そのまま4匹ともやるのは簡単だけど、目的はあの3人に倒してもらいたい。

だから俺はそのまま皆の所に戻る。

ゴブリン達は俺を追いかけてくるのを、3人が待ち構えるんだけど緊張していて何もできないでいる。

「伊達君は盾、大谷さん弓を構えて、楠さんはナイフを構えながらヒールの準備」

そう言って3人に指示を出す。

「伊達君は盾でゴブリンをぶっ飛ばす、大谷さんはいけそうならゴブリンに矢を射る!」

「おお」「はい」

「大谷さん、今!」ここまでくれば当たるだろう

弓を射ると、先頭のゴブリンの胸にあたりゴブリンがその場で倒れる、後ろのゴブリン3匹は気にせず、こっちに向かって走ってくるので「伊達君、盾!」

突進してくるゴブリンに盾を構え、

「ぶつかった瞬間に押し倒すんだ!」

「おお」

前の3匹ゴブリンを盾で押し倒している間に、1匹の首めがけて鉈を振るう、簡単に首が飛ぶ、

伊達君がなんとか1匹を押し倒したので、残り1匹に

「残り1匹、伊達君、剣!」

伊達君、頭の中は真っ白なんだろうな、言われるままゴブリンの胸のあたりを剣で刺す。

「大谷さん、倒れたゴブリンにとどめの矢を!楠さんナイフを持ってこっち」

大谷さんが伊達君が盾で倒したゴブリンの胸に向かってもう矢を放つ。

「楠さん、こっち」

矢がささったゴブリンがまだ消えていないので楠さんを倒れているゴブリンの所まで走って来てもらい

「念のため、喉にナイフを刺して」

「う・う・うん」

恐る恐るナイフを刺すと黒い霧(灰)になって消えた

ようやく終了。

皆、ハアハアゼイゼイ言いながらその場に座り込んでいる、体力疲れというより緊張の疲れといった感じ

「やったね、初めてなのにゴブリン倒せたね」

「「うん」」 「ああ」

半透明のさゆりさんを見ると、俺に向かってコクっと頷いてくれた。

俺はにっこり、頷いていると

「高谷君ありがとう、高谷君のおかげでゴブリンやっつけれたよ」

「いや、皆の連携がうまくいったからだよ」

「ううん、高谷君が指示してくれたからできたんだよ」

「ああ そうだよ 高谷君のおかげだよ」

「うん、それにしても 高谷君すっごく速かったよ」

「ああ、昔から足だけは速かったからね、だからアサシンを希望したんだ」

「そうなんだ」

あの緊張した状況だから、俺の速さが尋常じゃないのはわからないだろうから、そういうことでごまかした。

皆が落ち着くまで、ここで休憩することにした。

落ち着いてきたので、

「ガイドブックに書いてある通りだったね、魔石を拾って持って行こうよ 」

「「うん」」「ああ」

そう言って皆でゴブリンが消えた灰になった所に落ちている魔石を持って集まった。

一応皆探求高校生、普通ならナイフで刺すとか怖がってできないだとうけど、ちゃんとナイフで刺したり弓を射ることができた、よかった。

「皆 大丈夫?」

「「「うん」」」

「じゃあ、最初の予定どおりあの林の前まで行ってみようか」

「「うん」」「ああ」

「また モンスターが現れるかもしれないから、さっきと同じ体系でゆっくりね」

「「うん」」「ああ」

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